マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

2017年の振り返りと2018年の抱負

あけましておめでとうございます。


2017年は103記事書きました。2017年の目標として「100記事投稿達成」を掲げていましたが、なんとか達成しました。やればできる子だよ!


そんな2017年の記事振り返りです。そして最後に2018年の抱負です。

  • 1月 気分が晴れない時に読む漫画『憂鬱くんとサキュバスさん』
  • 2月 『ウォーキング・デッド』が面白すぎてつらい…
  • 3月 日常にある幸福から逃げてない?『東京ゴッドファーザーズ
  • 4月 AWSAPI GatewayとLambdaでサーバレスな環境を構築
  • 5月 ただいま高円寺!4年間で4回引越してやっと分かった不動産選びの4ポイント
  • 6月 豪華すぎない?SF名手が集まった『BLAME! THE ANTHOLOGY』
  • 7月 高円寺のめっちゃうまいラーメン屋さんといえば『自家製麺 火の鳥73』
  • 8月 【アンノーン捕獲の旅】みなとみらいのポケモンGoイベントを楽しんできました
  • 9月 【ヒナまつり】三嶋瞳の仕事ぶりをまとめました
  • 10月 奇妙な論理好きにおすすめ!小林泰三先生の名作小説30選
  • 11月 【レアポケモン捕獲失敗の旅】鳥取砂丘を満喫してきました
  • 12月 【運営報告】ブログ名を変更しました
  • 2018年の抱負
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2017年出版・完結のおすすめのマイナー漫画9選

2017年に読んで面白かった漫画(隠れた名作)を紹介します。対象は2017年にKindleストアで完結巻が出版された漫画です。


  • インコンニウスの城砦
  • 黒街
  • 春と盆暗
  • 中2の男子と第6感
  • KEYMAN
  • ひとり暮らしのOLを描きました
  • アイアンバディ
  • BOX~箱の中に何かいる~
  • 我らコンタクティ
  • まとめ
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『アイアンバディ』二足歩行ロボットが活躍する未来は熱いです

二足歩行ロボットの開発現場が熱い漫画といえば左藤真通さんの『アイアンバディ』です。全4巻です。


西真(にしま)工業の代表「西村真琴(にしむらまこと)」は単独で二足歩行ロボット「ロビンソン」を開発していた。しかし、資金不足のため、とうとう工場を追い出されます。


同時期にロボットのエキスポが開催されます。資金を提供してくれる企業が現れるのを期待し、西村はそのエキスポにロビンソンを出展します。そこで西村は二足歩行の難しさとロビンソンを説明します。


コンセプトは「倒れないロボット」


バットで殴るがそれでも倒れない。驚愕のパフォーマンスで注目を集めた後日、西村のもとにとある社長から連絡がいきます…


理工系ホイホイの漫画です。特にロボット製作に興味がある人にとっては熱い漫画だとと思います。高専出身者が主人公の漫画ってなかなかないですよ。



ロビンソンが改良を重ねて強くなっていく展開が面白いです。はじめは一人だったけれど、だんだんと仲間が増えていき、そして仲間同士の信頼関係が強くなっていくという展開も良いです。開発現場の熱さを見学できる漫画なのではないかと思います。


また、二足歩行ロボットの重要性が分かる漫画でもあると思います。二足歩行ロボットはそんなに需要がないと思っていたのですが、漫画内で出てきたこの一言にはたと気づきました。

あたり前ですがこの世の中は 人が使うための形をしています


道路や椅子、階段、ハシゴなどなど、社会は人が生活するためにできています。つまりは、ロボットが二足歩行で移動できるのであれば、街のたいていの場所は移動が可能になりそうです。そう考えると、二足歩行ロボットの技術が大きく進歩したのであれば、社会のインフラが大きく変化するのではと思います。


二足歩行ロボットといえばホンダが開発している「ASIMO」を思い浮かべます。そのASIMOが2017年でどこまでできるのかを見たのですが、いやぁ、いろいろ動きますね。歩くのはもちろんのこと、階段を上り下りしたり、走ったり、そしてジャンプもできるようになっています。


作中のような登山ができるレベルの自律歩行はまだまだ先かと思いますが、オフィスの一室などの限定された空間を動き回る二足歩行ロボットは数年後には市場に出そうな気がします。二足歩行ロボットが必要な時に人をアシストする…そんな素敵な未来を『アイアンバディ』は提示しています。

『KEYMAN』正義と悪はなかなか綺麗に割り切れない

アメリカンヒーローものコミックを日本風に表現したような…


そんな画風の漫画がわらいなくさんの『KEYMAN』です。13巻完結です。


舞台は人類種と獣人種が暮らす1900年代の世界。アメリカのロックヴィル市では超人的な力を持つキーマン(KEYMAN)と呼ばれるヒーローが町の平和を守っていた。


そのキーマンが何者かによって殺されます。キーマンの胸は「Dr.ネクロ」と読める傷が刻まれていた。街の警部であるTレックスタイプの獣人「アレックス・レックス」はその捜査を行います。


BARに寄ったアレックス・レックスは、そこでDr.ネクロと名乗る少女と出会います。そして、Dr.ネクロの口からキーマンの正体と、自らの正体が語られます…



物語の導入を見たとき、アメコミの『ウォッチメン』を思い出しました。ヒーローが何者かによって殺害され、その真相を追っていくという物語に既視感を覚えます。


正義とは何だろうか…そんな疑問をヒーロー系の作品を観るときはつい意識してしまいます。子供の頃は敵を倒すものが正義と純粋に思っていましたが、視点を変えると悪が正義のように感じる部分もあります。正義と悪は一概には区別できないものです。


『KEYMAN』も、悪いことをしているけれど、それを絶対的な悪とは言いきれないと感じる部分があります。とある家族の迷惑が世界を混乱させている原因だと思うんですけど、その迷惑を憎めない感情があって、それがやり切れなさを含んだ余韻を残します。この余韻がたまらないですよ。


筋肉隆々のキャラクター達が派手に暴れるアクションシーンも見所です。魔女が生み出したような異形の生物達との戦闘は、激しく、ダークで、そして格好良いです。迫力のある画力が魅力的な漫画でした。


関連:
minor.hatenablog.com

『中2の男子と第6感』妄想と自己嫌悪を繰り返して成長していくわけで

中学を卒業した男性なら共感すると思うんですけど、中学二年生の頃って理想の女性を妄想してはヘラヘラし、そして自己嫌悪するというループにはまってなかったですか?


その不敏さを堪能できるのが福満しげゆきさんの『中2の男子と第6感』です。4巻完結の漫画です。


主要な登場人物は4人です。

  • 中2 … 不登校の中学二年生
  • 師匠 … 謎のメガネ女子(「中2」の妄想?)
  • 妹 … 「師匠」そっくりの女子(本体?)
  • お姉さん … 「妹」の姉


物語の序盤は中2の自室で中2が学校に復帰するための計画を師匠とともに練ります。中盤で中2は外に出て、そこでお姉さんと出会います。その出来事を妹が夢で知り、妹は自分の夢が中2の妄想と繋がっていることに気づきます。


中2が妄想で作り出した師匠。
師匠そっくりの妹。
妹の夢に現れる中2。


これらの現象を中2ならではの発想と行動力で明らかにしようとします。


あえてジャンル名をつけるなら 主観SFコメディ


ヴィレッジヴァンガード高円寺店のポップアップに書かれている紹介文ですが、この言葉がなかなか的を得ています。コメディがベースにあり、そこにSFの要素も含まれて、それを主観で語ります(?)


中学二年生というと社会経験が少ないため、世界といえば映画や漫画で得た知識を頼る傾向が強かったのではないでしょうか。妄想のはずの女性が自我を持って話しかけている…そんな現象を映画や漫画の知識を持ち出して解明しようとする過程がめっちゃおもしろいです。


例えば「シックス・センス」と「ファイト・クラブ」の映画のタイトルが作中に出てきます。両作品とも主観で進行するようなところがあり、それを例示して妄想の現象を解明しようとします。


別の例では、中2が師匠の胸を揉んで殴られるという様子をビデオで撮影し、その様子がどうなっているかを観ます。その様子を見て自己嫌悪に陥るのですけれど、その様子がなんか胸に響くんですよねー。


妄想を中2の視点で言及しつくす…『中2の男子と第6感』はそんな福満しげゆきさんのセンスが光る青春ストーリーでした。最後の展開もとても素敵!