発熱するマイナー魂

隠れた名作の発掘が生きがい。サブカル作品の感想とIT技術メモ中心のブログです。

小説

邪なたくらみに満ちたホラー・ミステリー『完全・犯罪』

『完全・犯罪』は小林泰三氏の書くミステリー小説です。5編の短編は、どれもホラーな内容を含んでいて、奇妙な後味を残していきました。キャッチコピーは「邪なたくらみに満ちた五つの物語」。 完全・犯罪 (創元推理文庫)作者: 小林泰三出版社/メーカー: 東…

モザイクな探偵達『大きな森の小さな密室』

『大きな森の小さな密室』は7編の短編が集録された小林泰三氏のミステリー小説です。改題前は『モザイク事件帳』というタイトルでした。登場する探偵たちは個性的で、一部にはモザイクがかかりそうなブラックな内容が含まれてます。 大きな森の小さな密室 (…

とてもとても毒徳 『コインロッカー・ベイビーズ』

村上龍の長編小説『コインロッカー・ベイビーズ』がバイオレンスでエロティックでパラノイアでした。 新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)作者: 村上龍出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/07/15メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 21回この商…

火星な環境でサバイバルゲーム 『クリムゾンの迷宮』

『クリムゾンの迷宮』は貴志祐介さんのサバイバルホラーです。火星と呼ばれる場所に放置された男女が脱出を試みるという内容です。手元にはポケットゲーム機があり、条件をクリアするといろんな情報が得られます。得られた情報を最大限に利用し、襲いかかる…

身体のあちこちがむず痒くなる 『天使の囀り』

『天使の囀り』は貴志祐介さんのホラー小説です。身体のいろんな箇所がむず痒くなりました。。 天使の囀り (角川ホラー文庫)作者: 貴志祐介,酒井和男出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2000/12/08メディア: 文庫購入: 19人 クリ…

地の楽園を目指す旅 『天獄と地国』

頭上は大地、眼下は星海 天獄と地国 (ハヤカワ文庫JA)作者: 小林泰三出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2011/04/30メディア: 新書購入: 2人 クリック: 79回この商品を含むブログ (19件) を見る 『天獄と地国』は小林泰三さんのSF作品で、『海を見る人』に収…

科学と論理がぎゅっと詰まったハードSF 『天体の回転について』

小林泰三さんといえばグロホラーの代名詞である『玩具修理者』や、時間の不均衡がせつない『海を見る人』などの作品が有名だと思います。SFとホラーの両方を主に手掛けていますが、共通して感じるのは奇妙に強力な論理展開です。『天体の回転について』もそ…

「塩の街」 この終末が美しい!

有川浩さんによるロマンチックSF。世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた。 塩の街 (角川文庫)作者: 有川浩出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/01/23メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 92回この商品を含むブログ (138…

微睡みのセフィロト

冲方丁氏の超次元SF 。感覚者と感応者のいる世界。 微睡みのセフィロト作者: 冲方 丁出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/11/15メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る マルドゥック・スクランブルとマルドゥック・ヴェロシティを先に読ん…

ゴールデンスランバー

伊坂幸太郎氏が書く黄金のまどろみ。突然、首相暗殺の容疑者にされた元宅配ドライバーの逃走が描かれます。 ゴールデンスランバー作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/07/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 「大きな力に排斥…

ハーモニー

伊藤計劃氏のSF小説。第30回日本SF大賞受賞作品。 健康、思考、感情が科学技術によって制御されている平和な世界。そんな世界の現実は、人から考えることや感情を奪っていく。ゆっくりと平和に殺されていく世界に霧慧トァンと御冷ミァハが反抗する。 ユート…

2010年に読んで面白かった本のまとめ

今年も最後の日ということで,2010年に読んで印象に残った本をまとめました.なんとか今年中にまとめたかったけれど,時間があまり取れなくて取り急ぎでまとめた感じです.完全なる自己満足です.どうぞ! 10 限りなく透明に近いブルー クスリと暴力の溢れる…

年刊日本SF傑作選 量子回廊

2009年に話題になった短編SFをまとめた文庫です.瀬名秀明さんの『For a breath I tarry』は自分の存在確率の意味を考えさせられる作品でした.松崎有理さんの『あがり』は絶望と希望が織り交じった収束が素敵でした.他にも八木ナガハルさんの『無限登山』…

きみとぼくの壊れた世界

西尾維新氏が提供するミステリィ.禁じられた一線らしき何かを踏み越えて,世界は壊れていく. タイトルから,「主人公に関係する世界がだんだんと壊れていくのだろう」と予測していて,その予測はあながち間違いなく進んだ.しかし,想定外だったのは世界の…

終末のフール

伊坂幸太郎氏が描く終末.3年後,小惑星の衝突により地球は滅亡する.そんな今を生きる人々の物語. 何事も,終わってから気づくことが多いと感じる.けれど,この小説は終わる前に気づかされる,そんなふうに感じた.明確な終わりが設定されてから始まるス…

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

村上春樹氏による世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド.壁に囲まれた世界と,脳で暗号を取り扱う世界とが交錯する. 完全な世界と不完全な世界とが並行的に語られる.2つの世界は互いに連関しながら,心についてのあり方を探索している,ように思え…

フラッタ・リンツ・ライフ

森博嗣さんの小説.英語では『Flutter into Life』.Flutterとははためきや回転という意味らしい.人はおそらく誰もが理想的に生きたいと思っているが,生活は外圧によって制約される.そんなさけられない干渉の中で自由を求めるパイロットの人生観がすばら…

神様のパズル

機本伸司さんのSF小説.「宇宙を作ることはできるのか?」という疑問に量子力学やら宇宙論などの先駆的知識を織り交ぜながらの議論が面白い.専門的な知識の概要は知っているものとして議論を進めている感があることと,どこまでが既存の理論か創作の理論か…