マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

漫画

『商店街のあゆみ』移りゆく町に思いを馳せる

panpanyaさんの作品集『商店街のあゆみ』を読みました。面白かったです。 時間の経過にともない町は変わっていきますが、その町の変化をテーマにしたような作品が所々に見受けられます。「蓋然」では、下見した土地の変化に対する思いを描いています。「商店…

『模型の町』視点を変えて物事を見る面白さ

panpanyaさんの作品集『模型の町』を読みました。 視点を変えて物事を見てみると、何か楽しいものに出会えたりします。本作品集はそんな話が多くあるように思いました。「ここはどこでしょうの旅」シリーズでは、ここがどこかを当てるためにさまざまな視点で…

『魚社会』社会に息づく生き物たち

panpanyaさんの作品集『魚社会』を読みました。社会と生き物たちの接点に魅力を感じる作品が収録さています。魚が進化して働き出す「魚社会」、サンタさんのトナカイの仕事ぶりを描いた「外れる季節」など、20篇で構成されています。 また、カステラ風蒸しケ…

『おむすびの転がる町』気付きによって変わる町の見え方

興味と発見の繰り返し。 そんな漫画がpanpanyaさんの『おむすびの転がる町』です。今回は町を題材にした作品が多めです。町にある様々なものに興味を持ち、新しい気付きを得るという話が多いです。 例えば「そこに坂があるから」では坂の上がどうなっている…

『ナチュン』人智を超えた存在が徐々に見えてくる

都留泰作先生の漫画『ナチュン』を読みました。沖縄の海を舞台にした近未来SFです。全6巻です。 舞台は2050年頃の日本。主人公の「石井光成」はフランシス・デュラム教授が記録したイルカと戯れる映像を見てあるアイデアを思いつき、そのアイデアを実現して…

『ぼくらのよあけ』未来の団地と宇宙船

団地=宇宙船 そんな漫画が今井哲也さんの『ぼくらのよあけ』です。2巻完結です。 2038年の日本が舞台です。オートボットと呼ばれるロボットが家事を手伝い、小学生たちが携帯端末を使いこなすレベルまで技術が進んでいます。 小学生の沢渡悠真(ユウマ)は…

『グッデイ』最期の1日の理想系がここにある

人生の最後の日が分かったのであれば… そんなもしもを描いた漫画が須藤真澄さんの『グッデイ』です。舞台は「玉迎え」の存在する日本です。 玉迎えとは、体のご寿命で亡くなる方の体が、その前日、球体に見える状態を言います。 この設定がすごいです。しん…

『どこか遠くの話をしよう』異国の村にきっと存在する美しさ

異国の村の美しさを感じるような漫画が須藤真澄さんの『どこか遠くの話をしよう』です。全2巻です。 舞台は南米の高地にある村です。そこに住んでいる主人公の少女「チロ」は、物の声を聴くことができる特殊な能力を持っています。 ある日、チロは納屋で倒れ…

『グヤバノ・ホリデー』興味の種は尽きない

追究するから楽しいのか、楽しいから追究するのか… そんな漫画がpanpanyaさんの『グヤバノ・ホリデー』です。楽しいを深掘りしていく短編集です。 例えば「宿題のメカニズム」では宿題を終わらせる機械を作成していきます。作り始めた機械が徐々に大きくなっ…

『オキテネムル』生物の不思議を応用する面白さ

連打一人さんの『オキテネムル』を読みました。全9巻の漫画です。 とある商店街でキリン男(頭はキリン、首以下は人間)が現れたところから物語は始まります。キリン男は無差別に人を襲い、そして突如現れた何者かによって駆除されます。 キリン男が現れた…

ずっと終わらない暗黒と正義『勇者たち』

暗黒を倒せば、次の暗黒… そんな連鎖を描いた『勇者たち』がすごいです。浅野いにおさんの1巻完結の漫画です。 舞台は暗黒の潜む森。勇者たちが暗黒の魂にのっとられた仲間(トン助)を倒したところから物語は始まります。トン助の封印後、勇者たちは森から…

永遠に生きることは不幸なのか『銀河の死なない子供たちへ』

死なない日常を描いた漫画が施川ユウキさんの『銀河の死なない子供たちへ』です。全2巻です。 主な登場人物は、子供の「π」「マッキ」と、その母である「ママ」の3人です。3人は死ぬことがなく、人類の足跡が残る地球で、永遠とも続くような日々を過ごしま…

『そらトびタマシイ』他の命を糧にして生きていく

しばらくぶりに五十嵐大介さんの漫画『そらトびタマシイ』を読みました。全部で6編からなる作品集です。いやー、心に響くものがありますよ。 命を糧にして今の命がある…そんなテーマを感じる作品集です。例えば、表題の「そらトびタマシイ」では食事シーンが…

『第三惑星用心棒』迷走兵器を対処するアンドロイドの物語がすごい

争いの跡が残る大地に、ギターを担いだアンドロイドが降り立つ… そんな絵を楽しめる漫画が野村亮馬さんの『第三惑星用心棒』です。SFファンを虜にする絵がここにありますよ! 西暦2882年 第三惑星 地球 無政府・無国籍状態 紛争が終わり、紛争に利用された兵…

独特な管理 / 監視システムが素敵!おすすめのディストピア漫画9選

ディストピア作品が好きです。ディストピアとはユートピアの反対の世界を描いたような物語で、次のような特徴を持つものを言います。*1 管理 / 監視システムが登場する そのシステムによって公平に分配が行き渡っている(ように見える) そのシステムによる…

余命24時間をどう生きる?『イキガミ』

余命24時間を告げられる… そんな漫画が間瀬元朗さんの『イキガミ』です。全10巻です。 「国家繁栄維持法(通称、国繁法)」が適用された国が舞台です。国繁法とは「死」への恐怖感を植えつけることによって「生命の価値」を再認識させることが目的の法律です…

報われない話満載『隣町のカタストロフ』

ある時、突然に天地が逆転したら… そんな状況を描いた漫画が菅原敬太さんの『隣町のカタストロフ』です。空に落ちそうな町で展開されるドラマが面白いです。全3巻です。 5月28日午前10時12分…天と地が逆になる現象「地変天異」が起きます。街に住む人々はそ…

panpanyaさんのおすすめ漫画5選!異空間に迷い込む系の話が素敵すぎます

panpanyaさんの漫画が好きです。日常に接している不思議を体験する話が非常に面白いです。 絵の特徴としては、背景が緻密に描かれており、そして主人公はラフな感じで描かれているところにあります。古今東西が入り混じったような背景に浮いた容姿の主人公が…

『足摺り水族館』古いものと新しいものが共存する風景

日常の延長にあるような不思議な世界… そんな世界を楽しめる漫画がpanpanyaさんの『足摺り水族館』です。帯のキャッチコピーは「見捨てられたもの / 忘れられたもの / 新しすぎたもの」…もうね、表現力が素敵すぎますよ! 『足摺り水族館』は14編の短編集で…

きっと協力し合えないサバイバル『今際の路のアリス』

麻生羽呂さん原作、黒田高祥作画の漫画『今際の路のアリス』を読みました。『今際の国のアリス』のスピンオフにして続編の漫画です。 始まりは荒廃した京都。そこで目覚めた佐野紀奈(さのきいな)は、何も思い出せないまま周囲を散策し始め、そして清水寺で…

『二匹目の金魚』日常にある当たり前の調査はきっと楽しい

大人になって気にならなくなったこと…それを気にする漫画がpanpanyaさんの『二匹目の金魚』です。もうね、表現力が素敵すぎますよ! 『二匹目の金魚』は19編からなる短編集です。日常にある当たり前だと思っていたものに疑問を投げかけて掘り下げる…そんな話…

『動物たち』うまく伝えられない恩返しが可愛い

動物たちの予想外な行動に振り回される…そんな漫画がpanpanyaさんの『動物たち』です。もうね、表現力が素敵すぎますよ! 『動物たち』は17編からなる短編集です。大きく引っ越しの話と動物の話があります。 引っ越しの話では、引っ越し日の前後に感じる喪失…

不思議体験は魚とともに『枕魚』

現実なのか夢なのか魚なのか… 魚とともに不思議を経験する漫画がpanpanyaさんの『枕魚』です。もうね、表現力が素敵すぎますよ! 『枕魚』は22編からなる短編集です。ラフな容姿の主人公が不思議な体験をする話が満載です。「魚」がひとつのキーワードになっ…

『蟹に誘われて』日常に潜む不穏さや不思議さを満喫しました

日常と繋がっている不思議な世界を描いた漫画がpanpanyaさんの『蟹に誘われて』です。もうね、表現力が素敵すぎますよ! 絵の特徴としては、背景が達筆に描かれており、そして対照的に主人公はラフな(やや浮いた)感じで描かれているところにあります。最初…

『かぐや様は告らせたい』の勝敗結果をまとめました

赤坂アカさんの漫画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』がアニメ化必至のおもしろさですよ! この漫画は、生徒会の副会長「四宮かぐや」と会長「白銀御行」が主人公で、お互いが自分に告白させようと画策するラブコメです。「如何に相手に告白…

『新装版 ブラム学園! 弐瓶勉フルカラー作品集』やわらかいBLAME!が楽しめます

二瓶勉先生のあの作品集が新装版になって登場しました!その名も『新装版 ブラム学園! 弐瓶勉フルカラー作品集』です。 経緯を話すと、『ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集』がまず2008年に出版されました。その後、同作品が電子書籍でも発売されま…

『あの子と遊んじゃいけません』大人向けあぶないエンターテインメント

あぶない…けれどおもしろい! そんな漫画がどろりさんの『あの子と遊んじゃいけません』です。15編の短編集です。モラル的に大丈夫かな?という描写があるので、読むのは注意が必要です。 人が理性でフタをしているような嫌な性質があると思います。そのフタ…

『赤橙』天才の仕掛ける罠が魅力的!

二重三重に仕組まれた罠がおもしろい! そんな漫画が大部慧史さん原作、 小川亮さん作画の『赤橙』です。タイトルは「せきとう」と呼びます。3巻完結です。 主人公の高校生「黒星潤(ほしのじゅん)」は、凶悪殺人鬼「大瓦ユウキ(おおがわらゆうき)」の逮…

2017年出版・完結のおすすめのマイナー漫画9選

2017年に読んで面白かった漫画(隠れた名作)を紹介します。対象は2017年にKindleストアで完結巻が出版された漫画です。 インコンニウスの城砦 黒街 春と盆暗 中2の男子と第6感 KEYMAN ひとり暮らしのOLを描きました アイアンバディ BOX~箱の中に何か…

『アイアンバディ』二足歩行ロボットが活躍する未来は熱いです

二足歩行ロボットの開発現場が熱い漫画といえば左藤真通さんの『アイアンバディ』です。全4巻です。 西真(にしま)工業の代表「西村真琴(にしむらまこと)」は単独で二足歩行ロボット「ロビンソン」を開発していた。しかし、資金不足のため、とうとう工場…