市川春子さんの短編漫画集『虫と歌』がセツナスゴイ!(セツナスゴイ=切ない+すごい)
- 作者: 市川春子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: コミック
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市川春子さんの漫画を初めて読んだのは量子回廊に収録されていた「日下兄妹」でした。『虫と歌』にも収録されているその作品は、心底に残るセツナスゴイ残留感が印象的でした。そのときは市川春子さんのすごさがまだ分かりませんでしたが、その後、この漫画がすごい2011に『虫と歌』が紹介されていて、「市川春子さんはすごいのでは?」と思い、急遽買いに行きました。
(以下、軽いネタばれあり)
全作品に共通することだと思いますが、ひとつの特徴として異性体との交流があります。収録作品と、その作品に描かれた交流は次の通りです。
星の恋人
指から生まれた妹との交流。
ヴァイオライト
飛行機事故で生存した大輪未来と天野すみれの交流。
日下兄妹
肩を壊した青年と成長を続ける部品の交流。
虫と歌
3人兄妹と虫との交流。
しかし、その交流は、異なるが故に触れられない部分いうものが存在して、その部分のために近づけない。お互いにもっと近づきたいけれど、結局、一定の距離を保ったまま消滅を迎える。けれど、お互いが生きた証というものは、心にうまく伝達されて、心底部分で深くつながり合っているのではないかと思います。このつながりは見えないけれど、それを感じさせるストーリーというか描画がすばらしいのです。
SF的なセツナスゴイ作品を所望しているのであれば、『虫と歌』がベストマッチです。