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それが何か分からないまま唐突に終わる『フリージア』


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フリージア松本次郎さんの描くバイオレンスアクションな漫画です。仇討ち法が成立した社会で、殺人事件の加害者に報復する。


フリージア 第1集 (IKKI COMICS)

フリージア 第1集 (IKKI COMICS)


「私が見たいものは、混沌とした状況なのよ。その事態を理解する事も気付く事もできずにもがいている姿。」


何かを求めて行動するけれど、それが何か分からずに達成できないまま唐突に終わる。そんな無情な物語が多いけれど、そこで伝えられた何かの断片が妙に印象に残って、その印象の正体を掴むべく、気がつけば何度も読み返してしまう、そんな作品でした。


多分、今生活している過程で得られているはずの何かは無意識的なもので、その何かはとても捉えにくいものだと思います。この作品は、暴力的という非日常な世界を設定し、そこに日常では気付かないような何かを投影することで、それを目立たせて捉えやすいようにしていると思います。


フリージア』を読んでると、ふと村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』を思い出します。世界観というか作風がなんか似かよっていると感じたのですが、どうですかね。こんな混沌とした作品をもっと見たいなー。


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