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隠れた名作の発掘が生きがい。

『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』充実に向かっていく何かを感じたい


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女子高生とチェーンソー男が戦っていた。何か面白そうだから手伝うことにした。なんとシンプルで、ラノベ的で、青春感漂うシチュエーションなのだろう!


しかし、『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』というタイトルと、安倍吉俊さんの描いた表紙からは、青春といえども、晴れ晴れしない何かを抱えた感がビシバシ漂うのです。


普通に毎日を過ごして、何十年か、ごくごく普通に適当に生きて、なんとういうこともなくあっさり死んでしまう。たぶんその運命からは逃れられないわけだ。



学生時代といえば、何かをやりたくて、でもやりたいことがなんなのか分からなくて、よく分からない方向へと暴走していくことが多々あると思う。充実を求めて目先の面白いことにぶら下がるが、後から見てみると中身は空っぽで、結局自分は何者にもなれていないという感覚に陥る。


おそらくはその繰り返しでだんだんと無気力になっていくのだけれど、何かのきっかけでやっと求めていた充実に出会うことがある。そして出会えたなら、それはすごく幸せなことだと思うわけです。そんな幸せに出会って充実さを感じるまでの過程を描いたのがこの小説、『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』なのだと思います。


学生の頃に読んだ小説なのですが、充実に向かっていく何かを再度感じたくて読み直しました。


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