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隠れた名作の発掘が生きがい。

日々を生きていくことに悩んだら『セクシーボイスアンドロボ』


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セクシーボイスアンドロボ』という漫画原作のTVドラマが2007年に放映されていました。内容は、いろんな声を出せる女子中学生の"ニコ"と、ロボットオタクの青年の"ロボ"が街に起こる事件を解決していくというものです。高円寺付近を舞台に個性的な人々が躍るコメディなドラマです。


リアルタイムで見ていたドラマなのですが、毎回違うテーマの味わい深い余韻を残していく内容にすごく感動したことを記憶しています。そんな余韻をまた感じたくなって見返しました。そして、分かっていたことですが、最終回の余韻はやっぱりすごかったっす。


セクシーボイス アンド ロボ vol.1 [DVD]

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voice 1 『三日坊主』

私にとって世界は、親と、学校と、コンビニでできている。その中で私はうまくやり過ごす。

"三日坊主"という記憶が3日間しか持たない男と出会っていろいろする話。「なぜ日々生きていくのか」という問いに対する答えのヒントをもらえるような内容です。日々は継続していて途中でやめたい衝動に駆られるけれど、まだ生きたいことにふと気付いて、今日もまた生きていくのです。


voice 2 『ごぼ蔵』

私たちは行き先も分からず、転がるように走った。

"ごぼ蔵"という強盗犯と逃亡する話。ニコとロボが一緒に逃亡する中でごぼ蔵が強盗した理由が分かり始めるのですが、その理由が一途なのです。おそらくは、強力な理由によって突き動かされる行動は、何事にも優先されて、そして何事にも代え難いものになるのだろう。そう思います。


voice 3 『お歯黒女』

泣きたいほどの孤独と、何も無い平凡な自分になってしまうのと、どっちが怖いんだろう。

"お歯黒女"というネバネバしたものを投げる女性の話。特別な何かを得るのであれば代わりに何かを失う、というのが何となく分かっている摂理だから、特別な何かを綺麗なものとして扱って孤立させようとする。けれど、その特別な何かは日々の中に織り込むこともできる。その可能性に気付きます。


voice 4 『かんにん袋』

生きていくということは、自分の力ではどうしようもない、納得のいかないことの連続らしい。

"かんにん袋"という爆弾魔の話。納得いかないことは周りに溢れていて、否応無しにどこかで出会ってしまう。そしてたいていは我慢してやり過ごす。きっとそれは処世術として学んだことなのだろう。だから、納得のいかないことに出会ったことは、無駄ではなくて、必要悪なことだと思うのです。


voice 5 『うしみつ様』

呪いなんか信じてないけれど、それ以上に厄介なものに私は巻き込まれることになる。

"うしみつ様"という災いをもたらす人形に関する話。インチキであると分かっていても、すがったりするのはなぜだろうか。「信じる」ということに対しては必ずしも根拠は必要なくて、事実であっても信仰の前では事実でなくなったりする。「信じる」という不確かな要因で人は生きている。


voice 6 『ZI』

今のままがそんなにいいとは思っていないのに、この生活を壊したくないと思うのはどうしてなんだろう。

"ZI"という殺し屋を捜索する話。家族の絆っていいなーと感じる回です。他人同士の関係から始まって、偶然にも親密になっていって、やがてかけがえの無い関係となっていく。そしてその関係を結んでいるものはいずれ解けていって、別の他人と関係性を持つ。そんな連続性が素敵に感じます。


voice 7 『さわって青空』

伝えたい事が伝えられない、不器用で悲しい人だった。

"ハンバーグさん"という立てこもり犯の話。生きていくうえで会話はしていく必要があるのだけれど、そこにはロスがあったりして、うまく伝えられずに悲しくなったりする。けれど、時には想像以上に伝わることもあって、その時の嬉しさをまた感じたくてがんばっていこうとするのだろう。


voice 8 『プッチーニ 前編』

こんなに緑が綺麗なのに、私の心は止まっている。

"プッチーニ"という、死にそうな人の最後の願いを叶える3人組の話。あるきっかけで人生の見え方や生き方ががらっと変わる、そんな瞬間に立ち会えるような内容です。スイッチをオンにするのは簡単なのだろうけれども、そこから始まる物語はきっと強烈な印象となってずっと残っていく。


voice 9 『プッチーニ 後編』

何でもしますからまた、みんなの笑顔、見せてください。

"プッチーニ"が大きな願いを叶えるために動き出す話。スイッチをオフにするように、世界から人はあっけなく消えていく。その影響力は、自分の関係する範囲ではきっと大きいから、現状がずっと続けばいいのにと願う。だから人は、現状を切り取って保存しようとしていくのだと思うのです。


voice 10 『幸子』

ある晴れた昼下がり、私は2億円で売られようとしている。

"幸子"という来世のニコの子供になる(予定の)人の話。お金があれば好きなものがたいてい買えるため、お金に視点を合わせがちで、本当の幸せが何か見えなくなっていることもよくある話です。幸せの本質は別にあって、それは一人一人違っていて、だからお金では代替できないと思うのです。


last voice 『ロボ』

みんなと違うことを言い通すのは、なかなか根性がいる。たとえそれが、正しいことでもだ。

"ロボ"と"ニコ"の前に幽霊が現れる話。非日常が解ける展開は、寝ているところを叩き起こされるような残酷さと優しさを持っていると思う。出会いがあれば別れもあるけれど、きっと出会いは変化を残していく。出会った人の思想の一部を引き継いで、自分らしい生き方が形成されていくのだ。


何処かで日々を生きていくことに悩んだりしますが、『セクシーボイスアンドロボ』を見るとその迷いはちっぽけなものだということに気づきます。なんか勇気をもらえる素敵なドラマでした。