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隠れた名作の発掘が生きがい。

『スワロウテイル』お金で淀んだ街の中で輝いているものを見つける物語が素敵すぎた


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純粋に夢を追いかけられる環境があれば理想ですが、たいていの場合はそこに金銭な制約が加わって、純粋に夢を追いかけるという過程に混ざりが出てくる。その混ざりの中で輝いているものを見つける物語が『スワロウテイル』だと思います。


スワロウテイル』は、岩井俊二さんが監督脚本されて、1996年に放映された映画です。あったかもしれない日本の街「イェンタウン」を舞台に、夢やお金を追いかけて奔走する移民を描いた作品です。世界観、映像、音楽がとにかく素晴らしく、90年代を代表する青春映画だと個人的に感じている作品です。


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ちょっとややこしいけれど、
イェンタウンというのはこの街とこの街に群がる異邦人のこと
がんばって円を稼いで祖国に帰れば大金持ち
夢みたいな話だけど何しろここは円の楽園…イェンタウン


そしてこれはイェンタウンに棲むイェンタウンたちの物語


最初に見たときは部分部分から感じる映像美に酔いしれていました。登場人物が多く、その一人一人に重みがあるため、視点の切り替えが大変でもありました。何回か鑑賞するうちに、登場人物間の関係に潜む混ざりが明確になってくる感じでした。


夢はお金に左右されるものだろうか。夢を追いかけた人生とお金に翻弄された人生、その両面に関わって「本質」を見出していく展開がすごく印象に残ります。現状から金銭で計量できるものを取り除いたときに何が残るか。その問いに対する解のヒントが学べるような作品でした。