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隠れた名作の発掘が生きがい。

『社会不適合者の穴』狂気と妖艶が重なりあった世界が素敵すぎる!


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『社会不適合者の穴』がKindleストアで発売されとるやんけーー!


というわけで即買です。『社会不適合者の穴』はサブカルな漫画を買いあさっていた学生の頃に出会った作品で、物憂い何かを残していった青春でSFな名作です。


作者は田村マリオさんで、この方の書くキャラクターにはエロティクスとスタイリッシュを合わせたような魅力があります。各話の扉絵などはiPhoneの壁紙にすごく似合ったりします。


物語は、核戦争から約半世紀たった後の閉鎖都市で、孤児だった少年たちが外の世界に出ようと抗うような内容です。鬱屈で妖艶で狂気な世界観が素敵すぎます。


社会不適合者の穴  1

社会不適合者の穴 1


この施設がなんのために存在するか
貴様らのような何の役にも立たん社会不適合者をふるいにかけるためだ


もし世界の人口が少なかったり、世界がとてもクローズドであった場合、「感情」が世界を揺れ動かす大きな要因になるだろうと思います。そして『社会不適合者の穴』は「感情」が世界に浸透して動いているような感触を大きく感じました。


なんと言いますか、登場人物同士の間でしか理解し得ない何か絆的なものが彼らや彼らの周囲を動かしていて、物語の舵取りをしている感じです。その絆というのは、姉妹や友情の関係であったり、はたから見れば禁忌と思える関係であったりと様々ですが、それらの関係を世界に投影するような絵的表現がうまいなーと思いました。


最終話は急いで終わらせた感が強くて少しもったいない感があるのですが、いい感じの鬱な余韻を残していきました。あぁそうか、エヴァQに既視感があったのってこの漫画が原因だったかー、っていうのを感じましたぜ。