アフタヌーンで『キヌ六』という漫画を見た時、『BLAME!』や『銃夢』を読んだ時のような高揚感を思い出しました。90年代後半の作風を感じる、サイバーパンクでサイボーグな世界が蘇った感じです。
ディストピアな雰囲気が漂うけれど、どこかほのぼのとした空気を持った世界観が素敵なのです。ごちゃごちゃと機械化された日本の未来に、現代の日常感を持ってきたような感じです。
そして、登場人物の感性がどこかズレているところも素敵なところです。物語には"キヌ"と"六"という名前の少女が登場して、"キヌ"の大胆な行動にいろんな人がつっこむのですが、そのつっこみは、ハードな世界に日常観を持ち込んだようなナイスさを含んでいるのです。
- 作者: 野村亮馬
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/03/28
- メディア: Kindle版
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とりわけ、"六"のつっこみがかなり良いセンスです。シリアスで緊張感が漂うべきなシーンが多数登場するのですが、"六"はかなりマイペースに場をあしらいます。
男の腹部に豪快な蹴りが入って食べたものを吐いているときには、
「ありゃりゃ…さっきのヌードルでてるぅ〜」
とか、"キヌ"を殴って殴り返されたときには、
「パーで叩いたのに…グーでやりかえさないでよぉ」
など、なんだろう、緊張感を置き去りにする応対になんか癒されます。感覚がずれている感がよいコミカルさを残していく、そんな漫画でした。