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隠れた名作の発掘が生きがい。

『フリーランチの時代』自由になればなるほど、人らしさが見えてくる気がします


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技術はますます発達して、いずれはほとんど働かなくても生きていける時代がくるかもしれない。そんな飽食の時代になった時、人は何をするだろうか。そんなテーマ性を小説『フリーランチの時代』に感じます。


圧倒的に自由になったとしても、もしかしたら人の生活スタイルは今と大きく変わらないのかもしれない。遊んで暮らせると分かっていても働いているのかもしれない。働いているという感覚は、自分のやりたいことをやっているという感覚に置き換わっているのかもしれない。


自由になればなるほど、人らしさのようなものが見えてきそうな気がします。


フリーランチの時代

フリーランチの時代


フリーランチの時代

「いいえ、あなたは人間よ。まあ、たいていの定義によれば」

火星でフリーランチな身体になった話。何もせずに生きていけるという状態が与えられた時、さて何をしようかとまず迷うと思います。そんな状態の中でも自分がやりたいと思っていることが、おそらく自分の本質だと思います。


Live me Me.

そして私は、私を殺したーーー。

交通事故に遭い、脳死寸前の状態になった女性が、シンセット(ラジコン式のロボット)を通して現実で生活できるようになる話。人の意識や心に相当する部分がシンセットの機能に取り込まれていく内容に、少しの恐怖を感じました。


Slowlife in Sharship

多くの人間は、自分の住める場所が無限にあることも気づかず、今いる場所に留まり続けている。

個人が宇宙船で宇宙を航行できる時代、主人公はとある仕事のために小惑星に向かいます。今の生活は、かつての人々が冒険して得られた結果の上に成り立っていることを思い出しました。冒険心を廃れさせないことが、今を生きる人々の義務なのかもしれない。


千歳の坂も

それが答えなのだろうか。人間は、豊かに暮らすすべての条件が整っていてさえーー

不老不死の時代に突入し、望まなければ死ねなくなった人々の話。無限の時間が与えられた時、さて何をしようかとやっぱり迷うと思います。死は人間にとって重要な要素であり、その要素があるから人間らしい、そんな気がします。


アルワラの潮の音

そんな悲しいことはもうごめんだ。そんな憎らしいことはもう止めなければ。

島で暮らす民族に、未来からやってきた脅威が襲う話(『時砂の王』のスピンオフ)。危険な出来事に遭遇したとき、生存するために残酷な選択をしなければなかったりもします。選択の決断を繰り返すことで、人は成長していくのだろうと思います。