発熱するマイナー魂

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『女子攻兵』生きているという実感を感じる難しさ


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女子高生の姿をした巨大ロボットらしきものに乗り込んで戦争する漫画『女子攻兵』。もうね、タイトルからしてすごいよね。


ロボットらしきもの「女子攻兵」に乗り続けると精神汚染が進むという設定もあって、長く乗り続けた搭乗者(男)は良い感じに女子高生化が進みます。女子攻兵に搭乗する主人公(タキガワ中尉)は、異様さと狂気が漂う世界で、自我を崩壊させまいと必死に足掻きます。松本次郎さんでしか描けないような混沌とした物語がもう素敵すぎます。


読み進めていくと、立っている場所が分からなくなるような感覚に襲われます。どこに現実があるのだろうか。どこが本物なのだろうか。可能性の世界を酔歩している気分が続きます。最終巻でやっと確からしい現実に引き戻されるようなシーンがあるのですが、このシーン、かなりしびれました。


おそらくは、1人の人間が2つの視点を持ってしまったことが、不安定な感覚を引き起こす要因なのだろうと思います。ある時は中尉、ある時は女子高生、その2つの視点を同時に持ったとしたら、きっと自分を立たせるための地面が曖昧になってしまう。その2つを同時に立たせることのできる地面を想像できないから、こんなにも不安定なのだと思うのです。


女子攻兵 1巻

女子攻兵 1巻


異次元にあるのは 混沌と虚無の渦巻く奇形化した人間の業だけだ


タキガワ中尉が混沌の中で呟いた言葉「蓋然性(がいぜんせい)」が、この混沌とした世界を端的に説明しているように思います。


蓋然性とは編集


現実とは確率的なものであり、絶対的な基点がない。だから、自分が何者かが分からないし、生きているという実感を100%感じることもできない。実感は、他の何かを基準において、その基準からの相対的な距離でしか測ることができないもののように思います。


そう考えると、実感の追求こそが人間の本能なのかもしれない。そんなことをふと思いました。松本次郎さんの漫画を読むと、ついついそんな哲学的なことを考えてしまいますぜ。


混沌な世界といえば:
minor.hatenablog.com
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