「父さん」というと「頑固」という言葉がすぐ頭に思い浮かびます。自分に非のあることがあっても決して謝らない。実際、僕の父は誰かに謝ったところを見たことがないです。おそらくは、よく分からないプライドで生きているのだと思います。
そんなよく分からないプライドを持って生きていきたくない、と思ってずっと過ごしてきたのですが、『響子と父さん』を読むと「そんな生き方もありかな」という気になります。人にはある種の頑固さがあるのは当然で、その頑固さを受け入れられる余地がただあれば良い、というような考えに行き着いたわけです。
誰とはなしにいつの間にかできちゃった
漠然とした価値観に翻弄されてるだけだと思わないのか?
社会に出るといろんな価値観があふれていて、その価値観に引っ張られがちになるかと思います。「仕事のために生きるのが正しい」とか「趣味のために生きるのが正しい」とか、自分の価値観を押し付けたり、あるいは他人の価値観を真似しようと思ったりもします。
けれど、人には適正があるので、価値観が合ったり、合わなかったりというのが当然のようにあります。だから、価値観を押し付けたり、無理して取り込もうとするのは疲れるだけのような気がします。価値観は人それぞれであって、ただその価値観をお互いに受け入れられれば良いと思うのです。
妙なプライドを持っている父さんと、その父さんをいなす娘の響子、そんな関係がうらやましく思えるのは、お互いに価値観を許容しあっているからだと思います。それはきっと長年の付き合いの中で自然と生まれてきた関係であって、その関係に家族の良さを感じるのです。
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