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【波よ聞いてくれ】ただただ挽回したいという企画が熱い!


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『波よ聞いてくれ』の第三回のラジオ放送が熱いです!


『波よ聞いてくれ』は、カレー屋で働く女性(鼓田ミナレ)がとあるきっかけにより札幌のラジオ局でパーソナリティを務めることになる漫画です。ミナレの自己主張の強い性格とボキャブラリーが豊富な言い回しがめっちゃ面白いです。


第3巻で、ミナレがパーソナリティを務める番組「波よ聞いてくれ」の第三回目の放送がされるのですが、その内容がすごく心を打ちました。


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ただただ挽回したい
そんなダメ人間の集う
人生リハビリ番組になる予定ですうう


この言葉、すごく胸を打ちました。はたから見ればただの失態を電波に乗せて晒しているように見えます。けれど、ダメ人生を歩んで来た人にとってはすごく格好いいセリフだと思うんです。



まず、ラジオ放送の経緯をまとめると次のようになります。


第一回のラジオ放送
架空実況その1です。ミナレが「自分を裏切って逃げた男をたった今殺してきた女」を演じます。自分を裏切った男の名前は、ミナレの元彼氏(光雄)です。


第二回のラジオ放送
架空実況その2です。ミナレが「光雄を埋葬する女」を演じます。この放送前に、ミナレは光雄と会って、そこで別れを告げます。


第三回のラジオ放送
この番組の企画を放送します。この放送前に、ミナレの住んでいたアパートの住人(沖進次)に多大なるご迷惑をおかけします。 その謝罪が放送されます。


第一回、第二回の放送でミナレは光雄との過去を挽回します。第三回の放送では、ミナレは自分のやらかした失態を挽回しようと頑張ります。失態した過去を挽回しようと生き抜く、そんな姿勢がすごくいいです。


過去の失態に対してどう向き合うか。今まで失態は償いでしか清算できないものだと思っていました。反省し、何かしらの罰を受けることでしか対処し得ないものと思っていました。


けれど「挽回」という言葉が目からウロコでした。過去の失態に対して「償い」ではなく「挽回」。罪を受けるというよりも失態を盛り返す。そんなポジティブな言葉が最高に素敵でした。