マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

SNSの行き着く先は相互監視社会『ディス魔トピア』


スポンサードリンク

間違った方向に進んだ高度情報化社会って、なぜか心踊りますよね。


お互いがお互いを監視しあう近未来社会を描いた漫画が里好さんの『ディス魔トピア』です。タイトルから察する通り、ディストピアのジャンルに分類されるような内容です。


舞台は「キズナトピア」というSNSが浸透した街。隔離されたその街にはいたるところに監視カメラが設置されており、そのカメラの映像はキズナトピアを通じて見ることができる。街が隔離されているのはとある伝染病が流行ったため。保護地区としてこの街が造られ、健康な人はこの街に隔離された。


街の外からすると汚染されていない健全な身体が重宝されており、その身体を求めて「人狩り」が行われている。キズナトピアに捕獲対象の人物が提示され、市民はその人物の目撃情報をキズナトピアに報告することができる。地警は目撃情報を元に人狩りを行う。その人狩りを駆除する魔女の存在が噂されるが、キズナトピアでは魔女の存在は検知されず…が導入部分です。


主人公は姉妹の「エナ」と「ヤヤコ」です。一巻の表紙がエナ、二巻の表紙がヤヤコです。見た目に反してとても過激なことをするので「いろんな意味で大丈夫か?」いう不安も感じたりします。耐性のない人は注意ですね。




「相互監視社会」という基盤に胸が熱くなります。監視社会をテーマにした物語は、独裁者のような一部の権力者が市民を監視する、という内容が多いと思います。市民の一人一人がお互いを監視しあう、そんな社会を描いた作品は珍しいのではないかと思います。


この相互監視社会が成り立った経緯も面白いです。簡単にいうと、ある特別な素体が隔離された街に逃げたため、その街にいる人を利用してその素体を探そう。ついでに研究のために健全な身体も調達しよう。そんな個人の欲望で相互監視社会が生まれます。社会が間違った方向に進む要因は、きっと一部のマニアの純愛が裏にあるんじゃないかな。


そして、相互監視社会の時代が来そうな気がしてならないです。今はTwitterFacebookなどで、特定のキーワードがリアルタイムで報告される時代です。IoT(モノのインターネット)の分野もこれから発展していくので、監視カメラの映像や車の位置情報なども各個人が閲覧できるようなシステムが構築されていくと思います。そんな社会にこれからなっていきそうですが、果たして秩序を維持していられるだろうか…


監視社会を描いた作品といえば:
minor.hatenablog.com