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隠れた名作の発掘が生きがい。

『我らコンタクティ』ロケットにロマンをいっぱい載せています


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宇宙にいる誰かに向かってメッセージを送る…そんなロマンを存分に感じることができる物語が森田るいさんの『我らコンタクティ』です。1巻完結の漫画です。


会社員の「椎ノ木カナエ」は、帰り道で幼馴染の「中平かずき」に久しぶりに出会います。そして、かずきにとある工場に案内され、そこでかずきが1人でロケットを開発していることを知ります。


お金になりそう(会社を辞められそう)と思ったカナエは資金調達に向かいます。そして、出資してくれそうな社長をかずきの工場に招待し、製作中のロケットを社長に見せます。そこでかずきは「映画のフィルムと映写機を一緒にロケットで飛ばして宇宙で上映する」という目的を語ります…


表題に含まれる「コンタクティ(contactee)」とは「非接触者」という意味です。物語の途中でこの言葉が使われている意図を知ることができるのですが、それを知った瞬間にロマン度が急上昇します。



純粋な願いを叶えるためにロケットを飛ばすというのはなかなか難しいと思います。ロケットを飛ばすには多額の費用が必要のため、何かしらの金銭的な見返りを求めることが多いと思います。その金銭的な見返りを求めないような目的は、なんというか崇高で素敵に感じます。


ロケットに載せる荷物にはロマンがいっぱい詰まっています。映写機とフィルム、そして映写機を動かすための電力を供給する装置が荷物として積まれます。そして、これらを組み合わせて映画を上映する機械を開発するのですが、その機械の構造がすごく熱いです。


映画を上映するための電力を半永久的に供給したい…そんな課題を解決するアイデアが驚愕でした。そのアイデアを取り入れた機械のデザインは理系心をくすぐるものがあります。すごく格好良くて、読み応えがあります。


また、何気無い挙動のひとつを綺麗に切り取ったようなコマ割りが魅力的です。ときにはシリアスに、ときにはコミカルに描かれる繊細な絵に親近感を感じます。現実的で人間味のあるロマンチックな物語…『我らコンタクティ』はそんな漫画です。