ラグランジュの未定乗数法(Lagrange multipliers.ラグランジュの未定係数法とも呼ばれる)は,条件付き極値を求めるためによく使われます.この方法を用いて,条件が一つの場合における,計測値の最確値を求める問題の解法を簡単にまとめました.
ラグランジュの未定乗数法
一般に,いくつかの変数の関数において,が互いに独立でなく,
なる個の条件が付けられているとき,の極値を求めるには,個の未知の係数を用いて新たな関数,
をつくり,
を満足するおよびを求めれば,が条件付き極値となる.
条件を考慮した最確値の導出
計測値にそれらの要素に対する補正値を加えて最確値を求めることを考える.つまり,
によって最確値を求める.ここでは,ラグランジュの未定乗数法の考え方をもとに,最確値を求めるための補正値を導出する.
簡単のために,が満足しなければならない条件が1つだけあるとし,その式を次のように表す.
次に,この式をテイラー展開により線形近似する.
ここで,はをの要素で偏微分した要素数の列ベクトルである.記述を簡単にするために,,とすると,上式は,
となり,これが考慮すべき条件式(条件方程式)となる.
次に,最小二乗法の原理をラグランジュの未定乗数法によって求めることを考える.そのためには,次の式で表される関数,
を考えを最小にすればよい.上式をで微分して,
を考えるとは,
となる.このをに代入してを求めると,
となる.このをに代入すると,補正値は次のように導出される.
条件が複数ある場合の解法や応用例は次の本に書かれています.
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