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隠れた名作の発掘が生きがい。

『アリス殺し』チグハグな会話に巻き込まれる感じがすごく楽しい!


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このミステリーがすごい!2014年版」を見ると、第4位に『アリス殺し』という小説が選ばれていました。概要を見ると『不思議の国のアリス』に関連する要素が詰まった内容のようです。そして、著者は『玩具修理者』で有名な小林泰三さん。そう、


小林泰三 × 不思議の国のアリス


なのです。「この組み合わせ、マジはんぱねぇ!」と、もうトータルテンボスの藤田並みの驚きがでるほどの興奮です。たまらず一気読みです!




チェシャ猫なんかの調査で大丈夫かしら?もっとも、ここには大丈夫な人なんか一人もいないけどね。


小説は、ハンプティ・ダンプティの殺害容疑をかけられたアリスが、自分の潔白を証明するために行動するといった内容です。不思議の国の住人と地球のある世界にいる住人とは繋がっていて、二つの世界を行き来しながら真相に迫って行きます。


不思議の国にいる住人たちはどこかチグハグな会話をするのですが、その会話の論理展開は奇妙な説得力を持っていて、その奇妙さに巻き込まれる感じがすごく楽しいです。テンポも良く、クライマックスに向けての伏線回収もすごくて最後まで引き込まれっぱなしでした。


そして、さすがは小林泰三さんで、クトゥルフ感が織り混ざった不思議の国の世界観が素敵すぎたり、身体が拒否反応を示すようなグロい描写があったりします。著者の魅力満点な小説でした。


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