『ヴォイド・シェイパ』シリーズの三作目『スカル・ブレーカ(The Skull Breaker)』を読みました。タイトルの邦訳は「頭蓋を破壊する者」みたいな意味です。固定された型を崩すような感性を感じます。
内容は、異なる価値観に触れて、その価値観を取り入れていくような印象が強い展開でした。圧倒的な強者に触れたり、異種の思想に触れたりして、信念や在り方といった人を形作っている何かが揺さぶられたりします。親近感を得られるような人間味が芽生えてくるような内容でもありました。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/05/02
- メディア: Kindle版
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人間というのは、最も大事な目の前のものから一時的に目を逸らすことができるようだ。つまり、目の前のものが今は取り除けないとわかれば、別のものをひとまずは見ることができる。
”ひとつのもの”を極めていくためには、その”ひとつのもの以外”を遮断していかなければならない、と思っていた時期もありました。けれど、”ひとつのもの以外”から得られる情報の中には有用な情報が含まれていることもあって、それが閉塞された現状を打開することもあったりする。なので、外からの刺激は無いよりはあった方が良いと思っています。
『スカル・ブレーカ』は外からの刺激を強めに受けるような内容で、刺激を受けてより高みの次元を知っていく、あるいは、平均的な人間感を受け入れていく過程がとても面白かったです。そしてノギさんのヒロイン性が徐々に発揮されてきて、ええ、とても良かったです!
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