世界のどこかに人とは異なる思想を持つ生体がいて、なおかつ人に対して友好的だったら…そんなショートストーリーが楽しめる漫画が『空中庭園の人々 冬目景作品集』です。
「空中庭園」という言葉に魅力的な何かを感じるのですが、短編集の中にはその言葉は見当たらなかったです。きっと「空中庭園」とは、不可思議な存在がいる領域のことを示しているように思います。そしてその領域は、地球上のどこか、あるいは日常のどこかにひっそりと存在する、それを考えると何か興奮してきます。
本作に描かれた6編の漫画はどれも「未練」が関わってくるような内容となっています。しかし、その未練に日常感がありすぎて、なんだか不思議な存在がとても身近なもののように感じます。例えば、宅配を受け取れていない未練を断つためにゾンビとして蘇ってくる話とか、ありそうでなさそうな話がとても面白かったです。
- 作者: 冬目景
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2016/05/01
- メディア: Kindle版
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ELEMENT7
他の銀河系にも知的生命体がいるとして それが地球まで来たら
その時点で人類に勝ち目は無くね?
ドロドロの宇宙人が一人暮らしの女性のアパートに居候する話。地球人の言語を短時間で取得できるほどの知能があるならば、人の持つ感情や愛情もきっと理解できるのだろうなー。
コビト事情
妖精とか神サマとかいろいろ言われてるけどさ
見るとなんかいい事あるらしいじゃん
目が醒めると、座敷童子っぽい雰囲気の小さな人が家の中に居た話。異性同士であっても、命に関わる事柄であればきっと助け合う、そんな気がします。
Apartment of the Dead
今日は一人ゾンビ映画祭りなんだよ
女性の住むアパートに下着モデルの女ゾンビがやって来た話。もしゾンビに知能と良識があったらなら、未練を断ち切るための行動をするに違いない。
天国のドア
このドアの向こうはあなたの過去です
生前の問題を解決してください
地縛霊化を防ぐために、生前の問題を解決するチャンスが与えられた女性の話。他者から見たら些細な後悔であっても、本人からすればそれはとても重要なものだったりしますよね。
青密花
わたしの知ってるお姉ちゃんは 明るくていつも笑っていて…
7年前に自殺した姉について調べていく話。親しい人であっても、その人の性質を完全に理解することはできない。立ち入れない壁みたいなもの、その不可侵領域がすごく魅力的な物語でした。