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『紫色のクオリア』シュレディンガーの猫が出てくる系作品の最高峰


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2000年代といえばアニメや漫画で「シュレディンガーの猫」が流行った年かと思います。


主にパラレルワールドな展開を見せる作品でよく見た記憶があります。並行世界の原理の説明に「シュレディンガーの猫」の思考実験を用いるのが便利なのと、中二っぽい音感がかっこいいという理由で採用されていた感がありました。この思考実験の解釈である「コペンハーゲン解釈」や「多世界解釈」をいかに発展させて面白い作品を作れるか、2000年代はそれを競い合っていた良き時代のように思います。


シュレディンガーの猫が登場する作品はいろいろ出ましたが、その最高峰の作品といえばうえお久光さん著の『紫色のクオリア』なのではないかと思います。クオリアから始まり、量子力学フェルマーの原理大統一理論などが出てきて、科学・物理好きにはたまらない内容になっています。



ざっくりいうと、人間がロボットに見える少女「毬井ゆかり(まりいゆかり)」とボーイッシュな少女「波濤学(はとうまなぶ)」の友情の物語です。大きく二部構成になっています。

毬井についてのエトセトラ

ある猟奇的な殺人事件が起き、そこに巻き込まれる話です。人間がロボットに見えるということは、分解とか修理とかできちゃいそうですよね。

1/1,000,000,000のキス

携帯電話がもうひとりの自分に通じている話です。ひとりの少女を救うために無限の自分が世界の因果に抗う、そんな物語です。熱すぎです。素敵すぎます。


あまりにも面白いので「いずれアニメ化されるのでは?」と思っているのですが、「STEINS;GATE」に先を越されたのと、ブームが下火になってきたのとがあって、まだしばらくはなさそうですね。


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「毬井についてのエトセトラ」を読むと、玩具修理者のようぐそうとほうとふが連想されるのは僕だけではないはず。


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「1/1,000,000,000のキス」は脳髄工場の「声」という小説を拡張したような感じの内容です。


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ファンブックか何かで「STEINS;GATE」は『紫色のクオリア』に影響を受けた旨のことが書いてありました。