もうね、面白くないわけがない! 弐瓶勉さんの『BLAME!』を冲方丁さんの語りで描く、そんな夢のコラボが『小説BLAME! 大地の記憶』です。
小説は、漫画『BLAME!』の最初のあたり(LOG.1〜11)を描いた内容となっています。基本的には原作に沿った内容ですが、途中からオリジナルなストーリー展開を見せます。
『BLAME!』の名シーンの一つといえば、「LOG.2::大地の記憶」で主人公の霧亥がハードコピーの本を手に持ちながら「大地って何だ」と発するシーンです。この一言は「大地が何か分からない」という途方もなさを感じる名言だと思います。
小説版は、タイトルにもあるように、「大地の記憶」が一つの軸になっています。霧亥が大地に想いを馳せる姿、、そこに素敵で熱いものを感じます。霧亥の持つ人間性を垣間見ることができるような内容でした。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: Kindle版
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冷たく静かな大地が明るくなる頃、人影は丘の上に登った
ハードコピーの一文ですが、小説版ではこの続きが書かれています。おそらくは冲方丁さんのオリジナルの文章だと思いますが、その文章にはとてつもなく長い旅を支える希望を感じました。
あと、漫画は口数や説明の少ないのが特徴でしたが、小説は文章で書くということもあって、細かな描写が多々あります。そして漫画を読んでいて気付けなかったことにも気付けたりもしました。
例えば、LOG.2ででかい機械を片腕で持ち運びする女性。実は女性自体に腕はなく、マシンスーツの補助で腕を動かしています。改めて漫画を読み返して見ると、たしかにそうだ!
『BLAME!』は大好きな漫画のひとつで、結構読み込んでいるという自負はあったのですが、この小説を読んでまだまだ読み込みが足りていないと実感しました…そして同時に、BLAME!の世界を丁寧に描く冲方丁さんにBLAME!愛を感じる小説でもありました。