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『密室・殺人』論理的思考で謎を解く快感!


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「密室殺人」ではなく「密室・殺人」


密室と殺人を描いたミステリー小説が小林泰三さんの『密室・殺人』です。理屈っぽい話好きホイホイなタイトルです。


ある雪山の別荘で女性が墜落死する事件が起きます。また、その女性がいたはずの部屋は密室となっており、その状況になった経緯が不明なままです。とある探偵事務所の探偵「四里川陣(よりかわじん)」と助手「四ッ谷礼子(よつやれいこ)」がその事件の解決に挑みます。


息をするように論理的思考(ロジカルシンキング)を行える人がいます。仕事では活躍できるスキルだと思いますが、そんな人が集まれば一分の隙もない空気になって息が詰まるんじゃないかなとも思います。横から見ている分にはいいですけどね。

『僕と話が合う』というのはつまり理屈っぽくて、先読みが得意で、人の揚げ足をとるのが好きってことだろ。そんな者同士で話をしたら、どうなる?


探偵の四里川陣はそんな論理的思考ができるタイプの人間です。そして、登場人物の中にもそのタイプの人間がいます。そんな両者が出会ったのならば、きっと息が詰まりすぎて大変なことになるんじゃないかな。まぁ、横から見ている分にはいいですけどね。


密室・殺人

密室・殺人

論理的思考で解決される事件

この小説で起きた事件は、状況を整理して考えれば演繹的に解けるような事件です。そして、この事件を論理的に解決する過程にシビれます。筋道がしっかりと立っている会話は読んでいて心地良いですよ。

クトゥルフ神話が絡んでくる

助手の四ッ谷礼子はある事件がきっかけでトラウマを持っており、そのトラウマがクトゥルフ神話な世界に誘います。和製のクトゥルフな作品が読みたい!と思ったら手にとってみて損はないと思います。

登場人物がその後の作品につながる

本小説は小林泰三さんが手がけるミステリー長編小説の第1作目です。そして、ここに出てきた登場人物が、以降のミステリー小説にときどき登場します。


『密室・殺人』で新藤礼都、岡崎徳三郎、谷丸警部、西中島巡査が登場します。これらの人物が『大きな森の小さな密室』『クララ殺し』『因業探偵~新藤礼都の事件簿~』に出てきたりします。このつながりが面白いですよ。


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