中学を卒業した男性なら共感すると思うんですけど、中学二年生の頃って理想の女性を妄想してはヘラヘラし、そして自己嫌悪するというループにはまってなかったですか?
その不敏さを堪能できるのが福満しげゆきさんの『中2の男子と第6感』です。4巻完結の漫画です。
主要な登場人物は4人です。
物語の序盤は中2の自室で中2が学校に復帰するための計画を師匠とともに練ります。中盤で中2は外に出て、そこでお姉さんと出会います。その出来事を妹が夢で知り、妹は自分の夢が中2の妄想と繋がっていることに気づきます。
中2が妄想で作り出した師匠。
師匠そっくりの妹。
妹の夢に現れる中2。
これらの現象を中2ならではの発想と行動力で明らかにしようとします。
あえてジャンル名をつけるなら 主観SFコメディ
ヴィレッジヴァンガード高円寺店のポップアップに書かれている紹介文ですが、この言葉がなかなか的を得ています。コメディがベースにあり、そこにSFの要素も含まれて、それを主観で語ります(?)
中学二年生というと社会経験が少ないため、世界といえば映画や漫画で得た知識を頼る傾向が強かったのではないでしょうか。妄想のはずの女性が自我を持って話しかけている…そんな現象を映画や漫画の知識を持ち出して解明しようとする過程がめっちゃおもしろいです。
例えば「シックス・センス」と「ファイト・クラブ」の映画のタイトルが作中に出てきます。両作品とも主観で進行するようなところがあり、それを例示して妄想の現象を解明しようとします。
別の例では、中2が師匠の胸を揉んで殴られるという様子をビデオで撮影し、その様子がどうなっているかを観ます。その様子を見て自己嫌悪に陥るのですけれど、その様子がなんか胸に響くんですよねー。
妄想を中2の視点で言及しつくす…『中2の男子と第6感』はそんな福満しげゆきさんのセンスが光る青春ストーリーでした。最後の展開もとても素敵!