マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

『魔法の色を知っているか?』マガタ博士の神聖さを堪能しました


スポンサードリンク

森博嗣さんの小説『魔法の色を知っているか? (What Color is the Magic?)』を読みました。Wシリーズの第2作目です。いやー、胸が熱くなりました!


舞台は人工細胞で作られた生命体「ウォーカロン(walk-alone)」 が生活している近未来。技術の進歩により人間は長く生きられるようになり、また、子供が生まれなくなっていた。


主人公の研究者「ハギリ」はとあるシンポジウムに参加するためにチベットへと向かいます。チベットに到着したハギリは、チベットに特別居住区があり、そこでは今も人間の子供が生まれていることを知ります。


シンポジウムの会場に到着したハギリはレセプションに参加します。その最中、会場の外で爆発音が聞こえてきて…が物語の導入です。


生命は移り変わっていくものだと思います。そして、この小説はその分岐点に立ち会うような内容だと思いました。人類が衰退し、人類の生み出した新しい生命体が繁栄する…この過程になぜか美しさを感じます。



どこから読んでも楽しめると思いますが、S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季を読んでいるともっと楽しめると思います。例えばこれらを読んでいると「色」=「赤緑黒白」を連想すると思います。Vシリーズの10作目のタイトル、あるいは四季の英題です。これがやんわりと出てきてニヤリとなります。


また、これらのシリーズには「真賀田四季」という博士が登場します。そして、『魔法の色を知っているか?』ではマガタ博士が登場します。確証はないですが、おそらく両者は同一人物だと推測しています。そして、このマガタ博士の神聖さをおおいに感じることのできる内容だと思います。


とりわけその神聖さを感じたのが次の一言です。

とにかく、そんな公理のような存在なのだ、マガタ博士の名は……。分かるかな?ガリレィ、ニュートンアインシュタイン、そしてマガタなのだよ


このセリフが熱いのなんの!マガタ博士の影響力を把握できる一言だと思います。


例えば200年後にも処理させたいことがあったとして、それを確実に処理させることができるだろうか?これ、相当に難しいことだと感じているのですが、それをやり遂げるのがマガタ博士なんですよね…『魔法の色を知っているか?』はそんな天才の神聖さを満喫できる小説でした。


Wシリーズ関連:
minor.hatenablog.com