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隠れた名作の発掘が生きがい。

『ぼくらのよあけ』未来の団地と宇宙船


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団地=宇宙船


そんな漫画が今井哲也さんの『ぼくらのよあけ』です。2巻完結です。


2038年の日本が舞台です。オートボットと呼ばれるロボットが家事を手伝い、小学生たちが携帯端末を使いこなすレベルまで技術が進んでいます。


小学生の沢渡悠真(ユウマ)はオートボットのナナコとともに阿佐ヶ谷の団地に住んでいます。ユウマはナナコのことを煙たがっていましたが、ユウマの好きな宇宙の話題をきっかけに心が動かされます。


その矢先、ナナコが何者かに乗っ取られたような挙動を見せます。その何者かの正体は、ユウマが偶然に起動した、地球の外からきた宇宙船であった…というのが物語の導入です。この宇宙船を故郷に帰すため、ユウマと仲間達が奮闘します。



宇宙船を助けるために、ユウマはナナコを説得しようとします。また、宇宙船を起動させるためにに必要な部分をとある女子が持っているのですが、その女子の機嫌を損ねてしまいます。


仲直りが1つのキーワードになっている物語だと思います。宇宙船の発射が成功するか否かは、仲直りできるかできないかにかかっています。大きな課題を解決するために日常の身近な問題を解決する…この因果関係が面白い部分です。


また、団地と近未来とが同じ空間に存在するところに面白さを感じます。昔から変わらず建っている団地にオートボットがいる風景…旧と新とが織り合わさったような描写に素敵なものを感じます。なんというか、男子の持っているワクワクの部分が刺激されます。


大きな課題と日常の問題、古さを象徴する団地と近未来の技術…『ぼくらのよあけ』はそんなギャプを楽しめる漫画です。