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隠れた名作の発掘が生きがい。

思い込みが激しすぎる依頼人達に耐えられる?『安楽探偵』

いくら日本語で意思疎通は取れるといっても、個人の持っている思考は様々なので、話が通じなかったりもしますよね。


中でも思い込みが激しい人とのコミュニケーションは厄介かと思います。その人から必要な情報を引き出したり、説得させたりするのは結構なスキルが必要です。


思い込みが激しい依頼人達を相手にする、そんな探偵を描いた小説が小林泰三さんの『安楽探偵』です。ミステリーの安楽椅子探偵(部屋から一歩も出ずに事件を解決する系)の分野に入る作品です。


基本的には、探偵の事務所に依頼人が訪ねてきて、その依頼人達の話を聞き、依頼を解決するという流れです。一話ごと完結で、全部で六話あります。


論理的で非の打ち所のない探偵と、一般的な論理が通じないような依頼人。そんな両者が出会って会話したならば、面白いことになるの必至ですよ。


安楽探偵 (光文社文庫)

安楽探偵 (光文社文庫)

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人工生命体がより人間らしくなる『彼女は一人で歩くのか?』

歩くのでしょう!


人間と人工生命体との関係に素敵なものを感じる小説が森博嗣さんの『彼女は一人で歩くのか? (Does She Walk Alone?)』です。Wシリーズの第1作目です。


人工細胞で作られた生命体「ウォーカロン(walk-alone)」。人間にそっくりで外見から見分けるのは難しい、そんな生命体と人間が共存している近未来の世界が舞台です。


人間とウォーカロンを識別する方法を研究していた「ハギリ」は、ある時何者かに命を狙われます。そんなハギリを保護するために「ウグイ」が現れて…が物語の導入です。


この小説で描かれる未来って、実現可能性の大きい未来のように感じるんですよね。長寿化と人工生命体、この2つが社会に浸透したのであれば、人間はどういった生き方を選択していけば良いのだろうか。


長寿化 = 人口減少

研究によって人間の寿命が大きく伸びます。寿命が伸びるということは子孫を残す必要も無くなってくるので少子化、人口減少に繋がります。


自分の好きなことに費やせる時間が増える一方で、人口は緩やかに減少していく。そんな現実をこの小説では描いているのですが、不思議とその現実が美しく感じるんですよね(森さんマジック)。

人工生命体はより人間らしく

人工知能は生活に普及してきているし、そう遠くない未来に一人で歩くアンドロイドが登場すると思います。しばらくは人間とアンドロイドの見分けがつくと思いますが、いずれはそれも解消されて人の五感だけでは区別できなくなります。


人間と人工生命体との区別ができなくなった時、両者の関係はどうなっていくのだろうか?その一つの解をこの小説で描いています。

よい終末を!

現代を生きている人の役目は、きっと人間よりも完全性を持った存在を創ることにあると思います。そして、その存在を創ったのであば、人類は衰退を余儀なくされます。それは摂理のように思います。


『彼女は一人で歩くのか?』は人類と新世代の入れ替わりの分岐点を見ているような物語でした。人類の終末につながるような物語なのですが、それは決して嫌ではなく、むしろ素敵に感じるんですよね(森さんマジック)。


関連:
minor.hatenablog.com

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JavaScriptでモンティ・ホール問題をシミュレーション!

「モンティ・ホール問題」の解答がなかなか理解できないです。


終物語』に出てきた確率の問題です。3つの閉まったドアのうち1つだけあるアタリのドアを開ける問題なのですが、この解答が直感的に理解がしがたい内容です。問題の詳細は以下の通り(Wikipediaより抜粋)。

「プレーヤーの前に閉まった3つのドアがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、2つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえる。プレーヤーが1つのドアを選択した後、司会のモンティが残りのドアのうちヤギがいるドアを開けてヤギを見せる。
ここでプレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている開けられていないドアに変更してもよいと言われる。プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?」


(1) 3つのドアに1つのアタリと2つのハズレがランダムにある
(2) プレーヤーはドアを1つ選ぶ
(3) 司会者は残りのドアからハズレのドアを1つ開ける
(4) プレイヤーはドアを変更した方が良いだろうか?


直感的には「(3)の段階でドアが2つに絞られるので、どちらを開けようが1/2で当たる確率は変わらないのでは?」と思うのですが、ドアを変更した方がアタリを引く確率が高くなります。回答を調べ回ったのですが、確率音痴なので「何でドアを変更した方が確率が高くなるのか?」がなかなか理解できないです。。


確率は苦手だけれどプログラミングはそこそこできるので、もうシミュレーションで確認です。JavaScriptでモンティ・ホール問題をシミュレーションして、ドアを変更した方が確率が高くなることを確認します。

  • シミュレーション
    • プログラム
    • シミュレーション結果
  • だんだんと分かってきた確率の解釈
    • 選択を変えない場合にアタリを引く確率
    • 選択を変えた場合にアタリを引く確率
  • ドアが5つある場合を考える
    • 選択を変えない場合にアタリを引く確率
    • 選択を変えた場合にアタリを引く確率
    • シミュレーション結果
  • まとめ
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高円寺のめっちゃうまいラーメン屋さんといえば『自家製麺 火の鳥73』

今まで行ったラーメン屋の中で間違いないくベスト5に入るよね!


高円寺駅から徒歩1分ほどの場所に店を構えるラーメン屋『自家製麺 火の鳥73』に通っています。振り返ってみると高円寺に引っ越してから2週間に1度のペースで訪れています。このお店の「火の鳥辛口味噌らーめん」がめっちゃうまいんです!

一番人気「火の鳥辛口味噌らーめん」 830円

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唐辛子ベースの辛味と味噌の相性が抜群です。辛いのは苦手ですけど、辛味は後味にうま味の残るような控えめの辛さなので、がっつりと食べても平気です。この辛味、持って帰りたい!


自家製麺のツルシコな食感がたまらないです。チャーシューの歯ごたえ、ネギのシャキシャキ感もたまらないです。食材の全てが調和する逸品ですよ。

肉をガッツリ食べたいなら 「角煮醤油らぁ麺」 950円

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角煮の入ったラーメンです。角煮が入っているから、チャーシューは入っていないだろうなと思っていたら、なんとチャーシューも入っています。がっつり肉食でいきたいならこのラーメンです。

あっさり系でいきたいなら「醤油らぁ麺」 750円

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他のメニューと比べるとあっさりしたラーメンです。スープの塩味が麺の食指を進める一品。付け合わせのおろし生姜がまた合います。

その他メニュー

味噌らーめん、辛口味噌のものすごく辛いバージョンのらーめんもあります。つけ麺もあるので、麺の味を堪能したいときはつけ麺が良いと思います。

まとめ

安定のおいしさです。夏バテは「火の鳥辛口味噌らーめん」さえあれば乗り切れる気がするよ!

自家製麺 火の鳥73

食べログ 自家製麺 火の鳥73

ゾンビトリック炸裂『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』

ゾンビを殺すとしたら何か理由がある??


小林泰三さんの『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』はゾンビ×ミステリーな小説です。この組み合わせ、今まで見なかったなー。


舞台は活性化遺体(俗称:ゾンビ)が外を歩いているのが普通となった世界。

  • 人はゾンビに噛まれたらゾンビになる。
  • また、ゾンビに噛まれず死んだとしてもゾンビになる。
  • そんなゾンビを殺しても罪にならない。
  • でも、ゾンビになる前に殺したら罪になる。
  • ゾンビを食べるゾンビイーターがいる。

そんな世界が舞台です。


物語はとあるパーティーで密室殺人が起きるところから始まります。ゾンビ研究所の主幹研究員「葦土健介(あしどけんすけ)」が入った部屋から叫び声が聞こえてます。見に行ったら部屋の扉には鍵がかかっており、扉をこじ開けて入ったら葦土健介はゾンビになっていた。


主人公の私立探偵「八つ頭瑠璃(やつがしらるり)」とその助手「竹下優斗(たけしたゆうと)」は、研究所の執行役員「有狩一郎(うかりいちろう)」の犯人調査の依頼を受け、調査を始めます。調査を進めていくと、ゾンビに関していろんなことが分かり始めて…といった内容です。



我の強い会話がやっぱり面白いですよね。小林泰三節とでもいうのでしょうか。どちらかが妥協すれば先に進むのに…という会話がちらほらあります。例えばこんな会話。

「ちょっと待って。ここには論文や学会発表を纏めたゾンビ研究のデータベースがあるはずよね」
「いいえ。そんなものはありません」
「はいはい。いちいち七面倒くさいわね。……ここには論文や学会発表や特許を纏めた活性化遺体研究のデータベースがあるはずよね」
「ああ。それならばございます」


こんな会話、はっきりと物言いできない日本人にとってはスカッとしてたまらないんじゃないかと思います。実生活でこんな会話を続けていたら身がもたないですが。


もうひとつの見所はゾンビを利用したトリックです。ロジカルに考えれば解けるトリックだと思うのですが、先入観が邪魔して見出せないようなトリックです。


生者、死者、ゾンビの境界が曖昧になる、、『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』はそんな小説でした。