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隠れた名作の発掘が生きがい。

『インコンニウスの城砦』この科学ファンタジー・スパイ漫画がすごい


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ファンタジー世界であっても科学技術と産業で人々が生活しているのであれば、そこにスパイが生まれるのは必然です。


科学ファンタジー+スパイの組み合わせが面白い漫画、それが野村亮馬さんの『インコンニウスの城砦』です。この組み合わせ、今まで見なかったなぁ…


舞台は氷期を迎えようとしている星。科学技術によって魔術を制御し、軍事兵器を生み出している世界です。北半球と南半球の人々が赤道地帯の利権を得るために争いを続けている、そんな設定です。


ある一人の少年(カロ)が、南半球の密偵として北半球が開発している「56号移動城砦」に送り込まれます。その城砦の工廠で働きながら、城砦の秘密を調査します。


とにかく世界観がすごく素敵です。探鉱民(ドワフ)や神人(アルブ)がいる神話のような世界にスチームパンクのような要素が溶け込んだ都市が熱いです。


裏には『風の谷のナウシカ』みたいな広大な設定があるのではないかと思います。もったいないと思ったのは、漫画ではその広大な世界の一部しか描かれていないことです。これはぜひ続編を出して欲しい!



逸材と言って良い だが逸材すぎる…


スパイといえば、感情を理性で制御して、誰にも悟られないように任務を遂行していく、そんなイメージがあります。実際主人公も感情をあまり表に出さずに黙々と密偵活動を遂行します。


ただ、主人公のカロはまだスパイの経験も少ないような10代くらいの少年です。そして、いくら優秀ではあっても、スパイ活動によってもたらされる犠牲の重さに耐えられるとは限らないです。犠牲に至る過程、それが読む人の心に印象に残るのではないかと思います。


『インコンニウスの城砦』は、ドキドキハラハラというよりも、裏切り裏切られるという世界の残酷さが余韻として残る漫画でした。これからが気になる終わり方なのになぁ…続編を出して欲しい!


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