我々の住む世界とは別の世界にある都市とその都市に住む人々を描いた漫画『闇の国々(Les Cites Obsecures)』を読みました。ブノワ・ペータース=作、フランソワ・スクイテン=画のバンド・デシネ(フランス語圏の漫画)に該当する作品です。緻密な描写で1コマの密度が高く、読み応えがあります。
本作は3つの作品から構成されています。どの作品もある種の世界(物体)が基盤にあり、その世界(物体)に翻弄されるような内容が面白かったです。例えば、「狂騒のユルビガント」では巨大化していく網状組織とともに暮らしていく人々の生活が描かれています。「塔」は巨大な塔を探索する話です。「傾いた女」は女性が傾いた理由に世界の理みたいな何かがあります。
以下、各作品の紹介と簡単な感想です。
狂騒のユルビガント
都市建築家のユーゲンの元に持ち込まれた立方体の骨組み(網状組織)が、ユルビガントの都市を侵食していく話です。網状組織は破壊できず、物体を貫通して巨大化していきます。その網状組織を受け入れて新しい生活を始める市民達の描画が面白い作品でした。
塔
塔の修復士のジョバンニが持ち場を離れて塔を旅する話です。何のために建てられたか分からない巨大な塔は胸が熱くなるものがあります。途中で出会った良いパートナーと順調に旅を進めていくのですが、衝撃的なラストが待っています。塔とはいったい何だったのか…
傾いた女
得体の知れない現象により身体が傾いた女性「メリー」の物語です。メリーが傾いた原因は物語が進むに連れて明らかになっていきます。闇の国々に住むメリーの物語と並行して我々の住む世界の画家「オーギュスタン・デゾンブル」の物語も実写で進みますが、その2つの物語が交錯していく展開がすごくおもしろかったです。
まとめ
『闇の国々』の感想でした。シリーズもので続刊も出ているので、読み進めていきたいと思います。