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隠れた名作の発掘が生きがい。

モザイクな探偵達『大きな森の小さな密室』


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『大きな森の小さな密室』は7編の短編が集録された小林泰三氏のミステリー小説です。改題前は『モザイク事件帳』というタイトルでした。登場する探偵たちは個性的で、一部にはモザイクがかかりそうなブラックな内容が含まれてます。


大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)

大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)


大きな森の小さな密室 ー 犯人当て
森の中にある家で密室殺人が発生。犯人は6人の中にいる!読者が犯人を推理する余地があったりして、なんといいますか推理パズルをしているような小説でした。


氷橋 倒叙ミステリ
ホテルで殺人事件が発生。視点は犯人です。事故か自殺か他殺かの区別がつかずに揺れ動く状況から、言葉巧みに真相を明らかにしていく展開が面白かったです。


自らの伝言 安楽椅子探偵
殺人状況の会話から、その事件はまさかの解決に向かいます。我の強い性格から発せられる論理展開はぐうの音も出ないほどのインパクトです。最後の一行が素敵です。


更新世の殺人 バカミス
死亡推定時期は百五十万年前。超限探偵Σが事件解決に挑みます。真面目な話は期待しないほうがいいといいますか、突っ込むところは他にもありますといいますか。。


正直者の逆説 ー ??ミステリ
読者へのヒントは「本短編作品中、犯人以外の登場人物は決して故意に嘘を吐くことはない」。複雑(?)なロジック展開に頭がうわーってなる作品でした。


遺体の代弁者 ー SFミステリ
被害者の短期記憶を移植して、事件解決を目指す話です。記憶をときほどいて真相に向かう展開は「ミステリを読んでる!」って感じがします。リズム感が良い作品でした。


路上に放置されたパン屑の研究 日常の謎
不定期に同じ場所に路上にパンが落ちている謎を解決していきます。田村二吉と岡崎徳三郎のやりとりが面白いです。読んでいる途中で真相が見えてくる作品でした。