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『代表取締役アイドル』理不尽な上司達に耐えられる?


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上司の言うことは絶対!


上司からの理不尽な要求にドン引きする小説が小林泰三先生『代表取締役アイドル』です。アイドルが代表取締役になって一騒動が起きる物語です。


アイドルグループに所属する河野ささらは、大企業のレトロフューチュリア株式会社から社外取締役になって欲しいとオファーを受けます。オファーの理由は、レトロフューチュリア株式会社の社長である石垣忠則が、ナウいヤングの感覚が必要だと思ったのと、テレビで河野ささらの「自分が社長だったらブラック企業にはしない」という発言を気に入ったためです。


河野ささらが社外取締役に就任したすぐ後、石垣忠則は、自身の息子である入社しての石垣忠介に社長職を譲り、自らは会長になります。その後、新しい経営コンセプトを決めるためのブレーンストーミングが行われ、突拍子もない経営ビジョンが決定する…というのが導入のあらすじです。


無謀とも取れる経営ビジョンを伝えられた社員達は、目標を達成するために無茶な行動します。上司の意見を絶対とする組織の悲劇が見応えありです。


企業は民主的な場などではなく、上意下達のシステムで動いている。法律に違反でもしない限り、それが明らかに間違っている施策であっても、部下は上司の命令に従うしかないのだ。


小林泰三さんといえば論理の通じない登場人物の描写が魅力的の作家です。この小説では論理の通じない上司が登場しますが、その上司が小林泰三節とものすごく調和しているように感じました。企業に勤めの人にとってはあるあるの上司の理不尽がコミカルな悪意さをもって描かれています。


上司からの指示を業務命令として部下に押し付ける…その指示が明らかに無理であったしても達成せよと強要する…さらに達成できなければ部下の責任にします…そんな社風が根付いた企業の行く末は、もう悲惨なものとなる予感しかしないです。


その抑止のためにアイドルの河野ささらがなんとかせねばと動きます。論理の通じない上司への対応をどうすべきか、何か学ぶことができるものがあるような小説だと思います。