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隠れた名作の発掘が生きがい。

エンジニアの感性にとても響く『すべてがFになる』


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僕が小説にはまるきっかけとなった作品が、森博嗣さん著の『すべてがFになる』でした。漫画化、ゲーム化、そしてドラマ化もされている作品でもあります。それほどまでに、この小説はおもしろくて魅力的だと思います。


内容は、工学部の助教授と学生が孤島の研究所で起きた密室殺人に関わっていくというものです。密室の真相がすごすぎました。研究者やエンジニアの持っている思想感や生活感が文書の所々に表れているのも特徴的で、その文書は、理工学部の学生からすると素敵に感じると思います。


すべてがFになる THE PERFECT INSIDER 講談社文庫

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「先生……、現実って何でしょう?」萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」犀川はすぐに答えた。


なんと言いますか、事実と計測に裏づけられたような、より確からしい説得力のあるメッセージだと思います。このようなメッセージが所々に表れてきたりします。科学技術に対する評論も正論だと思うものばかりで、1996年に出版された本ではありますが、この小説で言及された科学技術感は変わっていないことに気づきます。


すべてがFになる』では、とりわけ、生命の定義、人のライフスタイル、仮想空間で生活していく可能性などの断片を感じることができると思います。生活の変化を知ることができる別の視点が手に入れられたような作品でした。