発熱するマイナー魂

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人のようなものがいっぱい『百舌鳥魔先生のアトリエ』


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人型の面影を残して異形なものへとなっていく、あるいは人が人のようなものに出会う怖さをテーマにしたようなホラー短編小説集が『百舌鳥魔先生のアトリエ』です。著者はうわーってなる描写に定評のある小林泰三さんです。


別の可能性へと進化した人型が目の前に現れたとき、その存在は人と近しいだけに同種嫌悪みたいな感情が芽生え、同時に自身もそんな可能性になり得るという畏怖を感じたりします。この小説はそれらの感情を満喫できるような内容でした。



ショグゴス

便利さを追求して不便な機能を何かに代替させるのは良いけれど、そこには少なからず依存性があって、その依存性が大きくなりすぎるととんでもないことになったりする。依存から切り離せなくなる怖さを浮き彫りにしたような内容でした。


首なし

首がないという、おおよそ生きていることが不思議な状態の描写がえぐいっす。人型であれば人から見れば親近性を感じるもので、人型から少し乖離した可能性に対しては恐怖や嫌悪を感じやすいということを実直に感じた作品です。夢にも出てきてうわーってなりました。


何気ない違和感とか、見張られているような感覚とか、そういった身近に感じる何かが意思を持って具象化していく過程にゾクゾクきます。深みにはまってはいけない存在ではあるけれども、そこに一縷の希望を見出して傾倒していってしまう、それが人の弱さであり怖さでもあるのだろうと思います。


朱雀の池

突然、誰かの記憶が割り込まれて、その記憶の意志が遂行されていくような話。
異なる価値観の壁に挑むような話で、生まれ持って刷り込まれたような価値観を崩すのは容易ではないと感じました。後味がすっきりしない。。


密やかな趣味

アンドロイドに自分の趣味や趣向をぶつけていく話。人の持っている本性といいますか欲深さが怖い!常識と非常識の境は紙一重なもので、タガが外れるととんでもないことになる。直視できない残酷な話でした。。


試作品三号

妖怪が科学によって扱われるようになった世界で、人工的に作られた妖怪が異能バトルを行うという内容。制御不能となれば災厄となることを分かっているのに、制御できると信じて新たなものを作ろうとした成れの果てを感じます。


百舌鳥魔先生のアトリエ

おおよそ生きているのが不思議なくらいに解体されて別の形にするような話。具体的な作業描写は生きているという定義を曖昧にします。『玩具修理者』を思い出すような内容で、生物と機械に境界があるという考えを払拭するような内容でした。