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『ティンカー・ベル殺し』本当は怖いピーター・パン


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独裁的なピーター・パンに戦慄する。


そんな小説が小林泰三先生の『ティンカー・ベル殺し』です。『アリス殺し』『クララ殺し』『ドロシイ殺し』に続く、シリーズ4作目です。今回の舞台は「ネヴァーランド」です。


ピーター・パンがウェンディとウェンディの弟達、ティンカー・ベルを連れてネヴァーランドへ向かう途中、言葉を話す蜥蜴のビルを捕まえます。ビルはピーター・パン達の仲間となり、そしてネヴァーランドに辿り着きます。


一方地球では、大学院生の井森建が小学校時代の同窓会に参加するために、同窓会が行われる温泉町に行きます。そこで同級生の酢来酉雄、樽井友子、日田半太郎たちと出会います。同級生はネヴァーランドに登場する誰かとつながっています。


少し後、ネヴァーランドでティンカー・ベルが誰かに殺されます。地球でも同窓会に参加していた同級生の1人が死体で発見されます。ウェンディの願いで、ティンカー・ベル殺しの犯人を2つの世界から捜査します。



ピーター・パンがネヴァーランドで好き勝手な振る舞いをするので、地球がすごく大変なことになります。読了後はピーター・パンの怖さが印象に残りました。


後書きにジェームス・マシュー・バリー原作の『ピーター・パンとウェンディ』について触れられていますが、これを読んでピーター・パンの純粋無垢なイメージが刷新されました。この小説のピーター・パンもその原作の延長で描かれており、これが小林泰三先生の世界にマッチして怖さが大変なことになりました。


また、「地球でアーヴァタールが死んだとしても、ネヴァーランドの登場人物は死なない」という世界のルールがあるのですが、このルールでもすごく大変になります。『ティンカー・ベル殺し』はシリーズの中で一番怖くて痛いかもしれません。


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