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隠れた名作の発掘が生きがい。

『放課後カタストロフィ』オカルトがそろいもそろって滅亡活動

恐怖の大王、イルミナティ、魔術教団…


そんなオカルトな存在がわちゃわちゃと集まる漫画が『放課後カタストロフィ -Re:THE END of the end-』です。原作は猪原賽さん、作画は平尾リョウさんです。3巻完結。


「1999年7の月に恐怖の大王が現れる」と予言したことで有名なノストラダムス。その子孫「九十九シトネ」がこの漫画の主人公です。舞台は予言が外れてしばらく経った2015年。


九十九シトネはある理由からオカルトを嫌っています。そんな彼の元に「恐怖の大王」が降ってきます。遅れてやってきた理由は寝坊したから。じゃあ早速人類を滅亡させよう、と張り切って行動する「恐怖の大王」を九十九シトネが止めようとする…というのが物語の導入です。


テンションが楽しい系のギャグ漫画ってときどき読みたくなりますよね。そんな欲望を叶えてくれる漫画だと思います。オカルトによって人類は滅亡しかけますが、ご都合主義的な何かが働いて滅亡を回避する、そんなパターンが繰り返されます。小さな悩みとか吹き飛んでいくような内容ですよ。


放課後カタストロフィ1(ヒーローズコミックス)

放課後カタストロフィ1(ヒーローズコミックス)


以下、この漫画で登場するオカルト達のメモです。ネタバレ注意。

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『因業探偵~新藤礼都の事件簿~』論理的思考で弄ぶ快感!

圧倒的な論理的思考ができるのであれば、人を追い込むことも容易いわけで。


論理や理屈をうまく操って事件の関係者を弄ぶ小説が小林泰三さんの小説『因業探偵~新藤礼都の事件簿~』です。『密室・殺人』に登場した女性「新藤礼都(しんどうれつ)」が主人公の小説です。


ただ面白いから論理で追い込む。最高潮の時に突き落とせば面白いので、最高潮になるよう計画を実行して然るべきタイミングで突き落とす。この小説はそんな性格を持つ女性が主人公です。その独壇場が面白いです。


因業探偵?新藤礼都の事件簿? (光文社文庫)

因業探偵?新藤礼都の事件簿? (光文社文庫)


本書はプロローグと6つの短編から構成されています。

プロローグ

新藤礼都は、過去に怒った殺人事件を簡単に解決できた経験から探偵を始めようとします。そのためにまずはお金を貯める必要がある、というわけでアルバイトを始めます。

保育補助

「左小路(ひだりこうじあまこ)」は「丸屋敷慶子(まるやしきけいこ)」が園長を勤める24時間営業の保育施設で働き始めます。そこには、とある理由により、新藤礼都がすでに働いています…


新藤礼都は幼児が泣いている理由を分析し、その分析に応じた対応を淡々と行います。アプローチとしては間違ってはいないですが、その行為にはなぜか人間味が欠如していると思ってしまいがちですよね。痛快な追い込みが行われる話。

剪定

「田沢(たざわ)」が公園で弁当を食べていたら、新藤礼都の剪定作業に驚いて弁当をこぼします。その弁当の片付けを田沢に要求する管理人「西田多紀郎(にしだたきろう)」と、その要求に反対する老人「九度山(くどやま)」が言い争います…


論理が矛盾する会話を平然と行う人が中にはいます。そして、その矛盾を指摘しても頑なに受け入れない人も中にはいます。そんな相手を新藤礼都が弄びます。やっぱり痛快。

散歩代行

新藤礼都が犬の散歩を代行する仕事をする話です。その犬「チビ」は殺人事件の犯人を目撃しており、チビの視線に気づいた犯人がチビを始末しようと追いかけてきます…


散歩する側からすれば、突然、よく分からず犯人に殺されそうになります。そんな状況であっても冷静に分析してうまく対応するのが新藤礼都です。異常な状況をすんなり受け入れられる人ってすごい。

家庭教師

「本郷忠介(ほんごうただすけ)」は息子「広重(ひろしげ)」が誘拐された、という内容の手紙郵便受けで見つけます。忠介は、広重の友達である「蔵山豪(くらやまたけし)」の家に訪れ、その母「茂子(しげこ)」に心当たりがないか尋ねます…


世の中には状況を把握し、思いのままにかき乱す天才がいます。そのひとりがまさしく新藤礼都です。誘拐事件をかき乱すだけかき乱してただ自分だけが楽しむ、関係者からするとたまったもんじゃないです。

パチプロ

「桐谷吾郎(きりたにごろう)」はある理由で「仙堂幸実(せんどうゆきみ)」に追いかけられ、パチンコ屋に逃げ込みます。そして新藤礼都とぶつかり、持っていたパチンコ玉をこぼします。


賠償請求はきっちりとする、それが新藤礼都です。そして、相手に何かしら後ろめたいことがあるのであれば、それをとことん追及したりもします。敵に回したくないですよ。

後妻

ある老人と結婚した妻は、老人を早く死亡させて財産を得ようと画策します。計画した内容は、夫が健康にならないように味の濃い料理を作り続けて食べさせることだった…


陰謀を感じさせずに淡々と長期計画を実行できる女性、それが新藤礼都です。限られた条件で最大の利益となるように行動できる人間ほどれほどいるだろう。そんな人間はきっと圧倒的な論理的思考と執拗さを持っているのだろうなぁ…


関連:
minor.hatenablog.com

『密室・殺人』論理的思考で謎を解く快感!

「密室殺人」ではなく「密室・殺人」


密室と殺人を描いたミステリー小説が小林泰三さんの『密室・殺人』です。理屈っぽい話好きホイホイなタイトルです。


ある雪山の別荘で女性が墜落死する事件が起きます。また、その女性がいたはずの部屋は密室となっており、その状況になった経緯が不明なままです。とある探偵事務所の探偵「四里川陣(よりかわじん)」と助手「四ッ谷礼子(よつやれいこ)」がその事件の解決に挑みます。


息をするように論理的思考(ロジカルシンキング)を行える人がいます。仕事では活躍できるスキルだと思いますが、そんな人が集まれば一分の隙もない空気になって息が詰まるんじゃないかなとも思います。横から見ている分にはいいですけどね。

『僕と話が合う』というのはつまり理屈っぽくて、先読みが得意で、人の揚げ足をとるのが好きってことだろ。そんな者同士で話をしたら、どうなる?


探偵の四里川陣はそんな論理的思考ができるタイプの人間です。そして、登場人物の中にもそのタイプの人間がいます。そんな両者が出会ったのならば、きっと息が詰まりすぎて大変なことになるんじゃないかな。まぁ、横から見ている分にはいいですけどね。


密室・殺人

密室・殺人

論理的思考で解決される事件

この小説で起きた事件は、状況を整理して考えれば演繹的に解けるような事件です。そして、この事件を論理的に解決する過程にシビれます。筋道がしっかりと立っている会話は読んでいて心地良いですよ。

クトゥルフ神話が絡んでくる

助手の四ッ谷礼子はある事件がきっかけでトラウマを持っており、そのトラウマがクトゥルフ神話な世界に誘います。和製のクトゥルフな作品が読みたい!と思ったら手にとってみて損はないと思います。

登場人物がその後の作品につながる

本小説は小林泰三さんが手がけるミステリー長編小説の第1作目です。そして、ここに出てきた登場人物が、以降のミステリー小説にときどき登場します。


『密室・殺人』で新藤礼都、岡崎徳三郎、谷丸警部、西中島巡査が登場します。これらの人物が『大きな森の小さな密室』『クララ殺し』『因業探偵~新藤礼都の事件簿~』に出てきたりします。このつながりが面白いですよ。


関連:
minor.hatenablog.com

ポケモンGoに翻弄された夏休み(2017)

8月11日〜8月20日まで夏休みでした。そして、昨年と同じくポケモンGoに翻弄されていました。ポケモンGoのためにお出かけする、そんな32歳独身男の夏休みをどうぞ。

  • 8月11日 サンダー捕獲 その1
  • 8月12日 みなとみらいのポケモンGOパーク
  • 8月13日 サンダー捕獲 その2
  • 8月14日 帰郷
  • 8月15日 テオ・ヤンセン
  • 8月16日 肉を食べに行く
  • 8月17日 ヘラクロスを探しに行く
  • 8月18日 ジム巡り
  • 8月19日 東京に戻る
  • 8月20日 浅草・スカイツリー観光
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会社に行きたくない時に読むと元気でる『ひとり暮らしのOLを描きました』

日曜日の夜になると、よく分からない震えが出ますよね。


「会社行きたくない…」「また休日を無駄に過ごした…」そんな憂鬱な気分からくるよく分からない震えです。全日本もう帰りたい協会の会員の方々は、きっとこの症状に共感を覚えるはず!


そんなあるある症状を描いた漫画が『ひとり暮らしのOLを描きました』です。その名の通りひとり暮らしのOLを描いた漫画なのですが、私生活がリアルすぎです。


部屋は基本的に散らかってます。休日は寝すぎます。そして、仕事のことを考えては涙が出てきます。仕事のためにエネルギーを消費するだけの生活を描いていて、それが胸にグサっとくるのです。


そんな内容なのですが、読むとなぜか逆にがんばろうって気分になれるんですよね。きっとこの漫画を読むことで「つらいのは自分だけじゃない」みたいな励ましをもらえるためだと思います。



いろんなストーリーがあるのですが、その中でも働きたくない系の話がお気に入りです。そんな話を以下に抜き出しました。明日は仕事、それを考えるだけで憂鬱がとめどないんですが、これらを読めば元気が出ると思うよ。

第1巻

1日目 こんなにいいお天気なのに会社へ行くためのエネルギーを蓄えているひとり暮らしのOL

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平日は毎朝こんな感じですよねー。

4日目 変なかっこうでジュースを飲んで月曜日に対抗するひとり暮らしのOL

残り少ない自由時間でなんかしようとしますよね。

6日目 明日の仕事に備えて寝ることしかできなくなったひとり暮らしのOL

仕事中に寝ちゃいけないから、HPを回復しておかないと…

8日目 明日も仕事なのに暑くて眠れないひとり暮らしのOL

HP回復しておかないといけないのに!

第2巻

40日目 夕焼けチャイムを聞きながら絶望しているひとり暮らしのOL

震えるよねー。

第3巻

68日目 一週間前に戻りたいと願うひとり暮らしのOL

長期休暇最後の一夜は、せつない。(ワンダと巨像のテンションで)

70日目 転職を考えるひとり暮らしのOL

もっと楽な仕事ないか、よく探すよね。

73日目 雨が強くて出社したくないひとり暮らしのOL

玄関で心折れる。

第4巻

103日目 暴力的な眠気が抜けないひとり暮らしのOL

けれども頑張ってスーツに着替える自分、えらい!

第5巻

122日目 週明け早々に限界を超えたひとり暮らしのOL

月曜日はいつも以上に疲れる。ここを乗りきれるかどうか…