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『エスニシティ・ゼロワン』集団に属するということを考えた


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エスニシティ・ゼロワン』は多田乃伸明さんのSF漫画です。平穏で安定した囲郭都市の外に追放された少女の物語。共通の意志を持った人が集まれば、やがて革命が起きる!


「狂った独裁者と抑圧された民衆、わがままな王と搾取される国民。名前さえつけてやれば人は集まる」


エスニシティとは、検索すると様々な定義があるようですが、共通のもの(地域や宗教、身体特徴など)によって個人が特定の集団に帰属しているようなことを言うそうです。『エスニシティ・ゼロワン』はまさに社会と集団をテーマにしたような作品だと思います。


「集団に属していたことで集団の意志が自分の意志となる」ことの危うさを読み終わって感じました。集団心理や洗脳の意味に近いと思いますが、集団としてまとめられた意志は個人を無視する傾向にあると思います。個人としての意志を明確に持ち、その意志と類似する集団を選択して自ら属すことのできる人は果たしてどれだけいるだろうか。


あと、最後の展開が個人的にすごく好みです。最悪の事態に対応するために、ある集団とってさらに最悪の事態を引き起こして事態を沈静化させる。 そういった”おもいっきりさ”を伴なう変化が面白い作品でした。


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