ディストピア作品が好きです。ディストピアとはユートピアの反対の世界を描いたような物語で、次のような特徴を持つものを言います。*1
- 管理 / 監視システムが登場する
- そのシステムによって公平に分配が行き渡っている(ように見える)
- そのシステムによる絶望や恐怖が描かれている
この記事ではこれらの条件に一致する漫画を紹介します。
国民クイズ
クイズ番組が最高権力を持っており、クイズである点数をとることができれば、国家がその点数に応じた希望を叶える…そんな憲法「国民クイズ」が適用された社会を描きます。
例えば「隣の奥さんを殺して欲しい」という願いもクイズで点数を取れば叶えられます。命をも奪える凶悪な憲法ですが、国民一人一人に願いを叶えるチャンスが与えられていることにどこか平等さを感じたりもします…
イキガミ
管理 / 監視システム:国家繁栄維持法
すべての国民は子供の時に、将来のある時点に0.01%の確率で死にいたるカプセルを注射されます。そして、当人が死ぬ24時間前に死亡予告証(イキガミ)が通達されます。そんな法律「国家繁栄維持法」が適用された国が舞台です。
「死」への恐怖感を植えつけることによって「生命の価値」を再認識させる…そんな目的を持つ法律です。死亡予告を通達され、余命24時間を意味のあるものにしようと行動する人々の姿に心を打たれます。
フリージア
管理 / 監視システム:敵討ち法
殺人事件の被害者が加害者に対して報復できる…そんな法律 「敵討ち法」 が成立した日本が舞台です。主人公は敵討ちの執行代理人で、敵討ち業務を日々執行する姿を描いています。
やられたらやり返せるという権利はどことなく平等な感じがしますが、実際に適用されたならば不幸が連鎖していく結果になりそうです。解決したかに見えて内面にはわだかまりが残る…そんな悪循環を知ることができます。
ディス魔トピア
管理 / 監視システム:キズナトピア
舞台はSNS「キズナトピア」が浸透した街。いたるところに監視カメラが設置されており、SNSを通じて誰がどこにいるのかが分かるシステムが稼働しています。その街で行われている人狩りの真相を暴いていきます。
SNSが発展しすぎると、お互いがお互いを監視し合う相互監視社会になる気がしています。誰がどこにいるのかがSNSの情報を見るだけで分かる…個人情報が保護されないそんな社会、嫌ですよね。
エスニシティ・ゼロワン
管理 / 監視システム:囲郭都市、パペット
機械的に人口を調整するシステムが運用されている囲郭都市。そこに住む人々はモバイル端末の常駐アプリ「パペット」によって行動を監視しています。ある日、パペットによって規律を違反したとみなされた主人公は囲郭都市を追放されます。
無法地帯に放り出された時、その環境をひとりで生き抜いていくのは難しく、たいていはある集団に属するようになると思います。そして、その集団に属するということは、否でも応でもその集団の意思に従うことになります…
有害都市
管理 / 監視システム:健全図書法
舞台は2020年の東京オリンピックが目前となった日本。有害図書を全国の書店から一掃するための法案「健全図書法」が施行され、作品に対する規制が厳しくなっていきます。
もしも表現の自由に規制がかかれば、社会は窮屈になりそうです。社会に健全さをもたらすために作り手に対して規制をかける…そんな犠牲によって得られる健全さには正義を感じないです。
トリガー
管理 / 監視システム:射殺許可法
舞台は国王制となった日本。ある日、国王により一部の選ばれた人が拳銃で人を殺めることが許される「射殺許可法」が制定されます。その選ばれた人「トリガー」が繰り広げる物語です。
犯罪を減らしたいという想いで作られた「射殺許可法」は、結果として平和を提供しているように見えます。しかし、その平和のために尽くした正義は果たして正しいものだったのだろうか…そんな疑問の残る物語です。
社会不適合者の穴
管理 / 監視システム:管理都市
2187年、半壊した島国の都市の一つ「ゴシックタウン」。その街の更生施設に主人公の少年は収容されています。少年は故郷に帰るため、ゴシックタウンの無法地帯を奔走します。
街全体が刑務所みたい…そんな世界観が魅力的な漫画です。大人しく従っていれば士官になることもできる。しかし逆らえばクズカゴ行きとなる。エネルギーが足りない土地は、必然的に軍事国家になってしまうのだろうか…
あの子と遊んじゃいけません
管理 / 監視システム:暴力
短編集の中のひとつ『「大切なことは全てマンガから教わった」という人も居るので』が強烈な社会を描いています。国家貢献値に応じて暴力が認められた社会を描いています。
少し考えればおかしいと分かる情報も、伝え方次第では正しいと思ってしまいがちです。間違った説明で暴力の正当性を主張する…そんな皮肉を楽しめます。
まとめ
真面目なものからギャグなものまで、おすすめのディストピア漫画を9つ紹介しました。独特な管理 / 監視システムに魅力的なものを感じますが、たいていは何かの犠牲の上に成り立っている気がしますね。