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隠れた名作の発掘が生きがい。

『バイナリ畑でつかまえて』IT技術と人とがうまく融和できないもどかしさ


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現在の社会にIT技術はすごく浸透していて、もはや手放しがたいものとなっています。その技術が人にもたらす恩恵は大きいですが、SNSに載せていた情報が予期せぬ所でばれたり等、時にはその技術に翻弄させらたりもします。


バイナリ畑でつかまえて』は、IT技術と人とがうまく融和できないもどかしさをで表した漫画だと思います。IT技術を介して人と人とは繋がっていますが、人によってITリテラシーに差があるため、その差が予期せぬ結果をもたらしたりします。その差を存分に楽しめるのがこの漫画だと思います。


本作は、切ない話や面白い話が入り混じった21篇のショートストーリーと、1篇の短編作品で構成されています。特にドローンを介して外の世界を見る話にはぐっときました。


バイナリ畑でつかまえて

バイナリ畑でつかまえて


テクノロジーの哀愁を漂わせるような表現センスもすごく良いです。例えば、

Program11 セカイの終わり
セカイカメラがサービスを終了すると聞き 見納めに街を散歩してみることにした」


Program18 時計じかけのオレンジ
SNSっていったら昔は 青でもなく緑でもなくオレンジだった」


など、過去に使っていたサービスが急に色を帯びた思い出となるような文章センスです。セカイカメラは時代が早すぎたのだろうなーと思いますし、オレンジのSNSには学生の頃の記録がまだ残ってたりします。いたたまれない懐かしさが蘇ってきました。。