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隠れた名作の発掘が生きがい。

『フォグ・ハイダ』人の生死について考えた。命の大切さが見えてきた。


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森博嗣さんの剣豪小説『フォグ・ハイダ(The Fog Hider)』は霧の中での交戦を経験して成長していくような小説でした。多勢の敵に少数精鋭が挑む戦闘シーンがとても熱いです。


今までの『ヴォイド・シェイパ』シリーズは自己解決して成長していく印象が強かったのですが、シリーズ4作目となる本作は、他者の助言を取り入れて成長する過程が印象に残りました。「剣を遅らせる」という助言を取り入れて、剣の腕はますます洗練されていきます。




「どうして、人は死ぬのでしょう?どうして、死ぬようにできているのですか?」


おそらく、他者の死に対して正面から向き合った巻でもあると思います。人が死んだとき、その人が積み上げてきた経験といった価値の多くが失われる。人を殺すということは、そういった価値を奪うことに繋がっている。そんな現実を意識させられます。



「あの、何故、己が生きるためにならば、他の命を奪って良いことになっているのでしょうか?」


この問いに対して命の意義について言及したような回答が得られます。命は大切であることが根底にある、というような内容なのですが、その内容が真理に近いことを述べているように感じます。「どうして人を殺してはいけないか」という質問が子供からきたら、この回答を参考に答えよう。