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隠れた名作の発掘が生きがい。

『ネコあね。』少しぐらいわがままなのが丁度よい


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奈良一平さんの漫画『ネコあね。』は、タイトルから察する通り「ネコ」が「姉」になった漫画です。


幼いころに両親を亡くした銀ノ助は、祖母と一匹のメス猫(杏子)と暮らしていたのですが、ある日、目を覚ますと杏子が人間の姿になっていました。もちろん、猫耳と尻尾が付いた状態で。杏子は姉として銀ノ助を励まそうとするのですが、まぁその姿がとても癒やされます。


猫というと、わがままで自由奔放な性格の代名詞だと思います。けれどその性格は閉塞的な家族間の関係を変えるきっかけにもなったりします。何事にも我慢しがちだった銀ノ助が、ネコの姉のおかげで徐々にやりたいことを言えるようになっていく、そんな変化に素敵な何かを感じます。


生きていく上では、少しぐらいわがままな方が良いのかもしれない。わがままさがないと、自分が本当にやりたいことが埋もれてしまって、やりたいことをやれない性格になってしまう。それはきっともったいないことだと思うのです。


ネコあね。(1) (講談社コミックス)

ネコあね。(1) (講談社コミックス)


猫耳のある私は
ちゃんと二人の家族をやれているのだろうか?


全体的にほのぼの、じんわり系な話が続くのですが、猫の寿命の話を知ったあたりから、少し落ち着かない雰囲気になります。猫の寿命は人間よりも短く、多くの場合は人間よりも先にいなくなってしまう。そんな事実にうわーっとなるのが物語の後半です。


人生には限りがある、そんな事実を考えると、少しぐらいのわがままを言ったほうがやっぱり良いのだと思います。そのわがままは叶わないことのほうが多いのかもしれないけれど、言わないと叶うはずのわがままも叶わなかったりします。


最終回はそんなわがまま突き通す話で、この話を読み返すと熱い水が目に溢れてきます。ネコの姉に救われる物語、間違いなく別冊少年マガジンの隠れた名作です。


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