大学生の頃って、自分は何にでもなれそうな気がして、けれど何になりたいのかはよく分からない、そんな時期だった気がします。何者かになりたいのに、その明確なビジョンが見えない。そんな焦燥感が伝わってくる漫画が『ネムルバカ』でした。
この漫画は、とある女子寮で同じ部屋に住む2人の大学生の日常生活を描いたような内容です。先輩(鯨井ルカ)はバンド活動に勤しみ、後輩(入巣柚実)はその活動をうらやましそうに見ています。作中の所々に描かれる「自分のなりたいもの」に対する考え方や感じ方の描画がとても印象に残ります。例えば海辺で将来を語り合うシーン。
この歳になって目標がブレてない先輩が 運が良いんですよ
小さい頃になりたかったものってなんだったっけ?誰しもが思い描いたその将来像は、常識を学ぶにつれて「なりがたい」ものに変わり、いつしか手の届く範囲のもので良いと妥協してしまう。そんな人生を歩んでいることに気づいて、少しへこみました。
- 作者: 石黒正数
- 出版社/メーカー: 徳間書店(リュウ・コミックス)
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: Kindle版
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第1話 ネムルバカ
ある程度まで行った所に めちゃくちゃ硬くて厚い壁があるんだ
どれくらいの厚さかもわかんない壁が……
目標が高ければ高いほど、その壁は硬くて厚いものだと思います。その壁を攻略できなくて、結局、もう少し簡単に攻略できるような壁を探す方針に変えてしまいがちですよね。じっくりとひとつの壁に向き合うことが、いかに難しいことか…
第2話 バカショージキ
自分が社会の底辺にいるって自覚はあるんですよ 常日頃から
それで そこから上にあがるハシゴがまったく見えないっていうか……
大学時代は、この感覚を強く感じた記憶があります。社会というグループに参加できていないから、自分はダメだという感覚。その感覚を払拭するために、アルバイトをやっていたと思います。いろんなハシゴをまず探す活動が懐かしいです。
第3話 ジキューセン
妄想ってのは 妄想の中でウソを演じてる限り 絶対実現することはありえないの
妄想しているときの自分を想像してみると、自分の持つ短所がなくなった姿をイメージしがちなことに気づきます。まず自分の短所を無くすことが、妄想を実現するための一要素なのだと思います。それにうすうすは気づいてはいますが、なかなか正面から向き合えないものです。
第4話 センニチテ
ぐるぐる廻り続けるだけで一歩も前進しない駄目なサイクルのこと
駄サイクルという名言がここにあります。クローズドな環境の中で、見る→ホメる→作る→ホメられる、のような需要と供給を繰り返すサイクル。居心地は良いですけれど、そのサイクルを繰り返しても、本当に身につけたい力は付かない可能性が高いです。
第5話 チテイジン
最近は周りに情報が多すぎて
自分レベルの人間がどの地位止まりか早い段階で見えちゃうんですよ
情報が多いということは、選択肢も無数にあるということ。だから、自分のレベルに合わない選択は早々にあきらめて、別の選択を選んでしまいがちです。それはそれで良いと思うのですけれど、同時に自分のレベルを少しずつでも上げていくことが大切なのかもしれないです。
第6話 ジンゾウニンゲン
いいな……先輩は
外の世界と歯車が噛み合って動いてる感じ
社会というシステムに組み込まれていないという感覚を、学生の時には感じがちだと思います。自分の経験や特技を世界に活かせられない焦燥感。けれど、いつかは世界と向き合わなければいけない時が来るので、その時のための準備を怠らないことが大切だと思います。
第7話 ゲンキデネ
そりゃ…私だって ずっとここでフワフワと暮らしてたいよ
…でもそれじゃダメだ……
ずっとゆるく遊んで暮らしたい。けれど、その生活がずっと続く保障がないことは薄々感じている。だから、もし自分のやりたいことで世界と繋がることができるチャンスがあるのなら、そのチャンスを掴もうと行動するべきなのだと思います。
自分のやりたいことに挑戦した結果がどうであれ、その挑戦したという過程にはなにかしらの価値があるものだと思います。そして、夢よりも大切な物があることに気づいたのなら、それを守るためにはならば夢を諦めてもよいのではないか。そんなことを最近思うようになってきました。
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