興味と発見の繰り返し。
そんな漫画がpanpanyaさんの『おむすびの転がる町』です。今回は町を題材にした作品が多めです。町にある様々なものに興味を持ち、新しい気付きを得るという話が多いです。
例えば「そこに坂があるから」では坂の上がどうなっているのかを見てみたいと思い、坂の上を目指す過程を丁寧に描いています。「街路樹の世界」では街路樹マップを見て得られた気付きを語っています。この描き方や語り口調が唯一無二さを感じるもので、とても素敵です。
以下、各話のあらすじとです。
ツチノコ発見せり
ツチノコらしき生物を捕獲した話です。捕獲した生物がツチノコと認められるためにツチノコ学会を訪れ、ツチノコ研究者としての一歩を踏み出します。新種の発表を難しくする要因にほっこりします。
そこに坂があるから
坂の上がどうなっているのかを見てみたいと思い、登ってみる話です。坂を登ることに対して想うところを語っています。困難も考え方次第では楽しめる。
坩堝
なんでもお金と交換してくれる場所に訪れ、ゴミを交換する話です。ゴミに値段がつく理由を聞いて何か得られるものがあります。
街路樹の世界
都庁で発見した「街路樹マップ」のことを語る話です。街路樹はこれまで何気ない存在として見ていましたが、その見方が変わります。
茫洋
職業体験で鉄を加工する話です。一部の積み重ねで全体が構成されているのを感じます。
カステラ風蒸しケーキ物語
コンビニから消えたカステラ風蒸しケーキを追い求める話です。感無量が伝わります。
動物入門
動物の入門の話です。たしかに入門です。
新しい土地
郵便物を配達しようとしたけれど、宛先の建物が見当たらず、目についた電柱に書かれている番地を辿っていく話です。異世界感が漂う胸熱な町の描写が良いです。
架空の通学路について
中学校への通学路を紹介する話です。緻密な表現にpanpanyaさんのすごさを感じます。
おむすびの転がる町
おむすびころりんを見て、ねずみの穴を探す話です。穴の場所を突き止めるために試行錯誤する様子が面白いです。路上に対する理解の広げ方に感心します。