マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

きっと協力し合えないサバイバル『今際の路のアリス』

麻生羽呂さん原作、黒田高祥作画の漫画『今際の路のアリス』を読みました。『今際の国のアリス』のスピンオフにして続編の漫画です。


始まりは荒廃した京都。そこで目覚めた佐野紀奈(さのきいな)は、何も思い出せないまま周囲を散策し始め、そして清水寺で小島亜里朱(こじまありす)と出会います。その後、突如として花火が上がり、その方向を目指していくと、9人の男女と出会います。


11人の男女の共通点は次の通り:

  • ここで目覚めるまでのことを覚えていない
  • 誰もが絵札のトランプを持っていた(例えば佐野紀奈はクラブのQ)


これからの行動を話し合って意見が分かれる中、この場にいない「クラブのK」のトランプを持つと思われる人物が残した「東京に向かいます」というメッセージを見つけます。そして、一部の人物以外は東京へと向かい始めます…



集団が極限状態にさらされた時、人々は協力しあえるだろうか…きっとできないことが多いと思います。他者の価値観を受け入れられる余裕がないためです。


人々はそれぞれ別々の価値観を持っていて、そのためにさまざまな人生を歩んでいきます。そして、その価値観を他人と分かち合えるのは人生の中で一瞬であり、多くは自分の価値観を他者と分かち合えることなく死んでいきます。


『今際の路のアリス』はそんな孤独を感じる内容ですが、不思議と後味は良かったです。「他者と分かり合える一瞬」が価値あるものとしてうまく描写されていて、それが後味の良さに起因しているように感じました。


物語の始めの方で佐野紀奈は「人生は、80年もかかる、強制参加のクソゲー」と思っているのですが、まぁクソゲーも楽しめれば悪くないものだと思います。どう楽しめたかが重要なんじゃないかなー。

『ドロシイ殺し』まさかの登場人物と結末にファン興奮です

小林泰三先生の『ドロシイ殺し』を読みました。『アリス殺し』『クララ殺し』に続くファンタジー・ミステリー小説です。今度は「オズの魔法使い」シリーズが舞台です。


物語は「フェアリイランド」という世界にあるオズの国から始まります。その世界にいるドロシイは死の砂漠で倒れている蜥蜴のビルを発見します。


ドロシイの介抱によって意識を取り戻したビルは、フェアリイランドとは違う世界「ホフマン宇宙(『クララ殺し』の舞台)」から来たこと、地球に自分のアーヴァタール(化身)がいることをドロシイに伝えます。それを聞いたドロシイは、ビルにエメラルドの都へ行って貰わなければならないと伝えます。


一方、地球では、熱中症で倒れていた井森建(ビルのアーヴァタール)が目を覚ますと、そこにドロシイを思い出させるような人物を見つけます。その人物の口から、自分はフェアリイランドのドロシイのアーヴァタールであると告げられます…


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金剛山を登ってきました

山と食欲と私』を読んで登山欲が上昇中です。そんなわけで、昨日(5/4)に金剛山に登ってきました。金剛山奈良県大阪府との境目にある標高1125mの山です。

  • コース
  • 11:20頃 金剛登山口バス停到着
  • 11:50頃 千早城跡到着
  • 12:50頃 国見城跡(頂上)到着
  • 13:50頃 金剛登山口バス停到着
  • まとめ
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『二匹目の金魚』日常にある当たり前の調査はきっと楽しい

大人になって気にならなくなったこと…それを気にする漫画がpanpanyaさんの『二匹目の金魚』です。もうね、表現力が素敵すぎますよ!


『二匹目の金魚』は19編からなる短編集です。日常にある当たり前だと思っていたものに疑問を投げかけて掘り下げる…そんな話が満載でした。


例えば「メロディ」では夕方に流れるメロディの正体を追いかける話です。「制御についての考察」では電柱についている箱が気になる話です。


なぜそれがあるのか…最初は疑問に思うんですが、時間の経過とともに気にならなくなっていくんですよね。初心に返って疑問に立ち向かってみれば、そこに新しい発見があるかもしれないです。



以下、各話のあらすじと感想です。

  • メロディ
  • 制御についての考察
  • かくれんぼの心得
  • 冥利
  • 季節の過ごし方
  • 通学路のたしなみ
  • 引き金
  • 小物入れの世界
  • 担いだ縁起
  • 今年を振り返って
  • 知恵
  • 開発
  • 遥かな手紙
  • 許可
  • 春の導き
  • 真偽
  • シンプルアニマル
  • 二匹目の金魚
  • 海の閉じ方
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筑波山を登ってきました

山と食欲と私』を読んで登山欲が高まってきたので、昨日(4/21)に筑波山を登ってきました!筑波山神社→御幸ヶ原コース→男体山→山頂連絡路→女体山→白雲橋コース→弁慶茶屋跡→おたつ石コース→つつじヶ丘…というコースです。

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