麻生羽呂さん原作、黒田高祥作画の漫画『今際の路のアリス』を読みました。『今際の国のアリス』のスピンオフにして続編の漫画です。
始まりは荒廃した京都。そこで目覚めた佐野紀奈(さのきいな)は、何も思い出せないまま周囲を散策し始め、そして清水寺で小島亜里朱(こじまありす)と出会います。その後、突如として花火が上がり、その方向を目指していくと、9人の男女と出会います。
11人の男女の共通点は次の通り:
- ここで目覚めるまでのことを覚えていない
- 誰もが絵札のトランプを持っていた(例えば佐野紀奈はクラブのQ)
これからの行動を話し合って意見が分かれる中、この場にいない「クラブのK」のトランプを持つと思われる人物が残した「東京に向かいます」というメッセージを見つけます。そして、一部の人物以外は東京へと向かい始めます…
集団が極限状態にさらされた時、人々は協力しあえるだろうか…きっとできないことが多いと思います。他者の価値観を受け入れられる余裕がないためです。
人々はそれぞれ別々の価値観を持っていて、そのためにさまざまな人生を歩んでいきます。そして、その価値観を他人と分かち合えるのは人生の中で一瞬であり、多くは自分の価値観を他者と分かち合えることなく死んでいきます。
『今際の路のアリス』はそんな孤独を感じる内容ですが、不思議と後味は良かったです。「他者と分かり合える一瞬」が価値あるものとしてうまく描写されていて、それが後味の良さに起因しているように感じました。
物語の始めの方で佐野紀奈は「人生は、80年もかかる、強制参加のクソゲー」と思っているのですが、まぁクソゲーも楽しめれば悪くないものだと思います。どう楽しめたかが重要なんじゃないかなー。