小林泰三先生の『ドロシイ殺し』を読みました。『アリス殺し』『クララ殺し』に続くファンタジー・ミステリー小説です。今度は「オズの魔法使い」シリーズが舞台です。
物語は「フェアリイランド」という世界にあるオズの国から始まります。その世界にいるドロシイは死の砂漠で倒れている蜥蜴のビルを発見します。
ドロシイの介抱によって意識を取り戻したビルは、フェアリイランドとは違う世界「ホフマン宇宙(『クララ殺し』の舞台)」から来たこと、地球に自分のアーヴァタール(化身)がいることをドロシイに伝えます。それを聞いたドロシイは、ビルにエメラルドの都へ行って貰わなければならないと伝えます。
一方、地球では、熱中症で倒れていた井森建(ビルのアーヴァタール)が目を覚ますと、そこにドロシイを思い出させるような人物を見つけます。その人物の口から、自分はフェアリイランドのドロシイのアーヴァタールであると告げられます…
タイトルの通り、途中でドロシイは殺されます。その真相をフェアリイランドと地球を行ったり来たりして追っていきます。
『アリス殺し』『クララ殺し』では、ファンタジー世界と地球にそれぞれ登場する人物達が意外な繋がりを持っていて、それがひとつの面白い謎を作っていました。そして今回は、登場人物の繋がりというよりも、世界のルールに対する思い込みの裏をかいたような謎が面白かったです。
また、小林泰三さんの過去の小説に出てきた人物が登場していて、それがまた面白さを加速させています。あらかじめ読んでおくと結末の面白さが増すと思います。(うおーってなりました)