和製のクトゥルフ系の小説が読みたい!
と思って調べていたら殊能将之さんの小説『黒い仏』を見つけました。内容は、名探偵の石動戯作(いするぎぎさく)がベンチャー企業の社長の依頼を受けて福岡に行き、とある秘宝を探すというものです。
また、その依頼を受けるのと同じ頃に、福岡のあるアパートで殺人事件が起きます。物語が進むにつれて、この殺人事件と石動戯作がつながります。殺人事件の犯人は誰なのか。そしてとある秘宝の真相は?
面白いのは読み進めていくと仏教とクトゥルフ神話が徐々に絡み合ってくるところです。そして最後にとんでもない真相にたどり着きます。この真相にたどり着いた時の衝撃はキャッチコピーが端的に言い表しています。
賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。
こんな結末は見たことがないですし、常人には到底思いつかないですよ!万が一思いついたとしても、その結末を書く勇気があるかどうか。。
- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/07/12
- メディア: Kindle版
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殊能将之さんといえば『ハサミ男』でメフィスト賞を受賞した人です。『ハサミ男』では叙述トリックに度肝を抜かしましたが、『黒い仏』ではルールを破るようなトリック(?)に度肝を抜かしました。
小説にはある種の暗黙のルール(もしくはタブー)みたいなものがあると思います。この小説はそのルールを壊したような感覚を覚えました。
この感覚は「新本格派ミステリ」の先駆けとされる小説『十角館の殺人』を読んだ時の近い衝撃ですかね。ルールを壊して新しいジャンルを築く場面に立ち会ったような、そんな感覚です。イノベーションという言葉が頭をよぎります。
『黒い仏』はそんなイノベーションと、クトゥルフ、ミステリを堪能できる小説かと思います。ネタバレすると面白くなくなる系の小説のため、レビューはあんまり読まずに買った方が良いかもしれないです。