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隠れた名作の発掘が生きがい。

『バテリバイス 人間電池と砂の巨像』電力を生み出す人々の住む世界…素敵です


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人間が発電する。


そんな世界を描いた漫画が千賀史貴さんと赤岸Kさんの『バテリバイス 人間電池と砂の巨像』です。2巻完結です。


舞台はとある島。そこには王都を中心に四つの「農園」が存在します。農園には体内で電気を生み出して体外に出力することができる人々が住んでいる。地上で電気を生産する人々、そしてその電気を搾取する空の貴族がいる。


物語は地上の人々が空の貴族に反乱する描画から始まります。反乱軍(レジスタンス)として働くシビウとハルギタ、その二人は実は…な導入です。そして、人間の発電によって動く巨像が出てきて、その巨像を動かして戦ったりします。


人間が自ら生み出した電気を利用して生活や戦闘に利用する、そんなアイデアが面白いです。自らが電気エネルギーの源になれるのであれば、世界の様相はガラリと変わりそうですよね…



「人間の何かしらの働きを電気に変える」という技術はそのうち普及しそうな予感がします。体温や歩くだけで充電できるモバイル機器など需要がありそうです。


人間からエネルギーを簡単に取り出すことができれば、人間をエネルギー資源とみなして管理しようとする動きになると思います。そんな管理システムが出来上がった近未来の世界を見ているような漫画でした。映画「マトリックス」のあのシーンが思い浮かびます。


また、個人の持つ電力をT(テリバ)という単位で表現しているところも面白い要素です。テリバは圧と流に分解することができて、例えばハルギタは150T、圧15、流10というスペックです。物理の公式では電力=電圧×電流でした。


電気回路を思い出すと、直列つなぎや並列つなぎで電流や電圧が変わるので、そんな要素がもっとあれば面白そうですよね。続編出ないかなー。