異国の村の美しさを感じるような漫画が須藤真澄さんの『どこか遠くの話をしよう』です。全2巻です。
舞台は南米の高地にある村です。そこに住んでいる主人公の少女「チロ」は、物の声を聴くことができる特殊な能力を持っています。
ある日、チロは納屋で倒れている男性を発見します。目を覚ました男性は異国の言葉を話します。また、どうやら記憶を失っている様子です。会話の通じない&記憶のない男性に「プラティーノ」と名付け、その正体をチロが探っていく…というのが物語のあらすじになります。
男性の所持していた物の声はチロでも理解できる言葉になっています。その物の声を頼りに男性の正体を探っていく過程が面白いところです。
あのね?その言葉は多分「美しい」だよ
どこか遠い所にある異国の村に美しさを感じることがあります。自然、人、文化が調和した光景に人生をやり直せるような希望があるような気がします。そして、それが美しさの一要因のようになっているように思います。
読み進めていくうちに「プラティーノ」には暗い過去があることが分かってきます。異国の村の美しさに触れることによって、その暗い過去に1つの決着を付ける…そんな展開に熱くなるものを感じます。
また、途中まで読み進めると「遠く」という言葉に2つの意味があることに気づくと思います。2つの意味に気づいたとき、「すごい…」という言葉を思わず漏らすくらいの衝撃でした。タイトルに違わぬ構成が素晴らしすぎます。
異国の村が持つ美しさ…『どこか遠くの話をしよう』はそれを堪能できる漫画でした。読んだ後は素敵なものしか残らない。