現実なのか夢なのか魚なのか…
魚とともに不思議を経験する漫画がpanpanyaさんの『枕魚』です。もうね、表現力が素敵すぎますよ!
『枕魚』は22編からなる短編集です。ラフな容姿の主人公が不思議な体験をする話が満載です。「魚」がひとつのキーワードになっていて、多くの話に海や川の生き物をもとにした動物が出てきます。
例えば、表題の「枕魚」は枕に最適な魚であるマクラウオをテーマにした話です。「ニューフィッシュ」は漁港で水揚げされた妙な魚の話であり、「素人と海」では魚がなかなか釣れない話です。魚愛にあふれている漫画ですね。
以下、各話のあらすじと感想です。
- NEWTOWN
- 範疇
- east side line
- 備品
- 記憶だけが町①
- 雨の日
- MY LOST SOCK
- 地下行脚
- 二〇一四年八月一八日の夢
- 立ち方
- 素人と海
- ニューフィッシュ
- プレゼント
- ゴミの呼び方
- 星を見る
- 始末
- 親切ラーメン
- 運命
- 恩の行方
- 街路樹のあとさき
- 記憶だけが町②
- 枕魚
NEWTOWN
ニュータウンを訪れる話です。街を統一化する…というのは綺麗に見えるけれど、個性を失わせることにつながるんだろうなー。
範疇
交通量調査のアルバイトをする話です。車か車じゃないかという識別を人の目で判断するのは限界がありそうです。
east side line
東急東横線には4本の線がある…それを確かめに行く話です。歩き慣れた路線を一歩深く行けばそこには新鮮な何があったりなかったり。
備品
学校の校庭に野良犬が入り込んできたので、備品を使って対処しようとする話です。よく分からない備品ってありましたよね。異物感にフフってなります。
記憶だけが町①
街を彷徨う話その1です。古さの残る日本の町の絵が素敵です。
雨の日
帰路の途中に雨に降られる話です。雨が降り出しそうな雰囲気って、なにかの異世界が侵食してきそうな感じがして良いですよね。
MY LOST SOCK
洗濯していた靴下が風に飛ばされて電柱に引っかかる話です。緩やかに朽ちていく自分の持ち物だったもの…それをただ見ているのはせつないものがあります。
地下行脚
新宿の地下にあると噂される「変わったピザまん」を探しにいく話です。人気のない地下空間を彷徨う描写が素敵すぎます。くらっときます。
二〇一四年八月一八日の夢
船の上でイルカの子供を育てている話です。イルカの気持ちも分かります。
立ち方
とあるクラスメイトが廊下に立たされる話です。廊下に立たされた感想がなんかおもしろい。
素人と海
釣りの素人が釣りに挑み、なかなか魚が釣れない話です。自然界は甘くないですが、根本的なところで持ちつ持たれつの関係があります。
ニューフィッシュ
漁港で水揚げされる網の中に妙な魚「ニューフィッシュ」が紛れ込んだ話です。新しい食料とどう立ち向かっていくか…
プレゼント
路上で配られているティッシュの広告に疑問が浮かぶ話です。他人に何かをするときは利益を考えがちですが、純粋な優しさもあるのではなかろうか。
ゴミの呼び方
ボランティアの町内ゴミ拾い大会の景品を目当てにがんばる話です。ゴミの行く先を知って何か大切なものを得る…そんな内容です。
星を見る
星を見ます。
始末
黒板の文字を電動で消す装置が学校に導入された話です。新しい技術によって古い技術がいらなくなる…そこにやりきれなさみたいなものを感じますよね。
親切ラーメン
取扱説明書がとても親切なカップラーメンを作る話です。親切すぎるのも考えものですよね。
運命
フェリーに乗り遅れる話です。乗り遅れるべくして乗り遅れた…という運命を感じることで前向きになります。
恩の行方
浜辺でいじめられている亀を助けて、その恩を受ける話です。何に恩を感じるかは人(亀)それぞれなんですよねー。
街路樹のあとさき
街路樹が何本あるかを数える話です。あのときやっておけばよかったという後悔は、些細なことでも感じるわけで…
記憶だけが町②
マイナーコンビニ激戦区を彷徨う話です。サンエブリー、はじめて聞いた。