マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

漫画

『ネコあね。』少しぐらいわがままなのが丁度よい

奈良一平さんの漫画『ネコあね。』は、タイトルから察する通り「ネコ」が「姉」になった漫画です。 幼いころに両親を亡くした銀ノ助は、祖母と一匹のメス猫(杏子)と暮らしていたのですが、ある日、目を覚ますと杏子が人間の姿になっていました。もちろん、…

『ネムルバカ』自分が将来なりたいものってなんだったっけ?

大学生の頃って、自分は何にでもなれそうな気がして、けれど何になりたいのかはよく分からない、そんな時期だった気がします。何者かになりたいのに、その明確なビジョンが見えない。そんな焦燥感が伝わってくる漫画が『ネムルバカ』でした。 この漫画は、と…

『終わりと始まりのマイルス』の2巻が発売する可能性

世の中には諸事情によって続刊が(なかなか)出版されない漫画があります。鬼頭莫宏さんの漫画『終わりと始まりのマイルス』もそのひとつです。というのも、この漫画を掲載していた「マンガ・エロティクス・エフ」が休刊になってしまったので、今後がどうな…

『女子攻兵』生きているという実感を感じる難しさ

女子高生の姿をした巨大ロボットらしきものに乗り込んで戦争する漫画『女子攻兵』。もうね、タイトルからしてすごいよね。 ロボットらしきもの「女子攻兵」に乗り続けると精神汚染が進むという設定もあって、長く乗り続けた搭乗者(男)は良い感じに女子高生…

【ヒナまつり】仕事がつらくなったとき、ふと三嶋さんを思い出す

今、本当、仕事、つらい。。 なんでこんなつらいことをしてるんだろう。 そんなことが今まで何度かありましたが、そのたびにふと『ヒナまつり』の三嶋さんのことが頭に浮かびました。彼女の働きぶりを思い出すと、どことなくまだまだやれそうな気がしてきま…

ただただ罪悪感だけが残りました『ブラッドハーレーの馬車』

噂には聞いていましたが、『ブラッドハーレーの馬車』はとても凄惨な漫画でした。 最初、50ページほど読んだ時点で「あ、これは無理だ」と思って一度本を閉じましたよ。それでもせっかく買った漫画だしと思い、意を決して続きから最後まで読んだけれど、もう…

『プラネテス』で描かれた火星移住は現実的なのでは?

今一番熱い惑星といえば「火星」です。映画『オデッセイ』を回想する度に熱い何かがこみ上げてきます。人類が火星に到達する瞬間を目にするまでは生きていたい。火星への想いは日に日に積もっていくばかりです。 そして火星といえば、紛れも無い名作漫画『プ…

きっと何者にもなれない『カフェでよくかかっているJーPOPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』

叶えたい夢があって、その夢を実際に叶えた人はどれだけいるだろうか。調べたわけではないですが、感覚からして95%以上の人は夢を叶えられていないのではないかと思います。 そう、たいていの人は「きっと何者にもなれない*1」のです。夢があるのは良いこと…

多種多様な悩みを解決します『Latin 高畠エナガ短編集1』

知能を持っているならば、少なからず悩みもあったりします。『Latin 高畠エナガ短編集1』では、アンドロイド、妖精、猫又、悪魔が登場し、各々が特有の悩みを持っています。 アンドロイドは消された記憶の真実を知りたがったり、 妖精は力のなさを嘆いていた…

大人のネバーランドは欲望まみれ『ウエンディ』

こんなにも無秩序で色欲に満ちた世界がネバーランドだって、、素敵じゃないか! ピーターパンは銃をぶっ放しまくり、ティンクはカミソリを振り回し、フック船長はただひたすらにマゾな世界。そんなネバーランドが登場する漫画が松本次郎さんの描く『ウエンデ…

【今際の国のアリス】1/45の確率って本当?

今、熱い漫画のひとつ『今際の国のアリス』。Kindleで17巻が発売されたので、さっそく読み進めていたのですが、とある1コマに目が止まりました。 あの2人になる確率ってーーーー1/45。 これ、「組み合わせの公式」で計算できると思うんだけど、その公式がぱ…

『よっけ家族』こんなん読んだら、三重にUターンしたなるやん!

とある夫婦が急な転勤で三重に引っ越しすることになります。引っ越し先は妻の実家で、そこにはすでにたくさんの家族が同居していた…そんな漫画が宇仁田ゆみ著の『よっけ家族』です。 タイトルに含まれている「よっけ」は、三重弁でいう「たくさん」の意味で…

『CLOTH ROAD』ウェアラブルコンピュータが広く普及した世界に求められること

ウルトラジャンプの隠れた名作『CLOTH ROAD』は、コンピュータが人々の服になった世界を描いた漫画です。「ウェアラブル」が広く普及した世界に胸が熱くなります。特に地球が1枚の巨大な服に覆われているという設定が素敵すぎます。 主人公は双子の姉弟で、…

『革命家の午後』悲劇な結果であっても、いくらは報われる話

誰しもが何かしらの夢を持っていて、その夢が叶えばいいなと願っていると思います。しかし、たいていの夢は、ただ願うだけでは叶わないものです。そんな事実を突きつけるような漫画が『革命家の午後』でした。 革命家というと、社会を変えようとする夢を持っ…

『未開の惑星』誰かが報われて、そして誰かが報われない話

松本次郎さんの漫画『未開の惑星』を読んだ後、「世界は誰かの犠牲の上に成り立っている」ような感覚が尾を引きました。 物語の舞台は暴力の溢れた戦禍の街で、そこに住む3人の幼なじみが何かを掴もうと足掻きます。踊り子のクッキー、パン売りのナオミ、そ…

異質な生物達と共存するという可能性『田中雄一作品集 まちあわせ』

巨大な蟲や巨獣などといった異質な生物が、人間社会に入り込んだらどういった結末を迎えるだろうか。そんな"もしも"を楽しめる漫画が『田中雄一作品集 まちあわせ』です。 異質な生物と人間とが一緒に生きる世界は、油断すると淘汰される危険性も含んでいた…

『バイナリ畑でつかまえて』IT技術と人とがうまく融和できないもどかしさ

現在の社会にIT技術はすごく浸透していて、もはや手放しがたいものとなっています。その技術が人にもたらす恩恵は大きいですが、SNSに載せていた情報が予期せぬ所でばれたり等、時にはその技術に翻弄させらたりもします。 『バイナリ畑でつかまえて』は、IT…

『熱帯のシトロン』混沌とした世界で成長する「何か」

「ブラウン管の向こうでジャングルが炎に包まれていた時代。」の文言からから始まる漫画『熱帯のシトロン』。タイトルだけだとどんな物語なのか想像がつかなかったのですが、読み進めていくうちにどうやらこの漫画は混沌とした街を救う物語ということが分か…

『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』つぶさぬよ!

『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』という漫画を最近読みました。『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』『たべるダケ』に続くお食事系漫画の第4の波が来た、そう思った次第です。 内容は、食べ方に対する持論を述べていくというものですが、これがすごく親近感のわ…

『キヌ六』サイバーパンクな世界でつっこみがすごい

アフタヌーンで『キヌ六』という漫画を見た時、『BLAME!』や『銃夢』を読んだ時のような高揚感を思い出しました。90年代後半の作風を感じる、サイバーパンクでサイボーグな世界が蘇った感じです。 ディストピアな雰囲気が漂うけれど、どこかほのぼのとした空…

『橙は、半透明に二度寝する』思春期に不可思議なものに出会うと暴走しがちになるわけで

思春期とか青春な学生時代とかに出会う悩みには”特別”と感じる重さみたいなものがあると思います。その特別な悩みに対しては無意識に劇的な解決を望んだりするものだろうと思います。 そんな特別な悩みと劇的な解決が用意された不可思議な世界を楽しめる漫画…

『春ノ虫虫』痛いけれどやめられない欲望にぞわぞわする

『社会不適合の穴』を読んだなら『春ノ虫虫』も読まなー!というわけで、Kindleストアで購入できるようになっていた『春ノ虫虫』を即買いです。 本作は5編の短編で構成されていて、中には『社会不適合者の穴』に出てきた登場人物を想起させるようなキャラク…

『社会不適合者の穴』狂気と妖艶が重なりあった世界が素敵すぎる!

『社会不適合者の穴』がKindleストアで発売されとるやんけーー! というわけで即買です。『社会不適合者の穴』はサブカルな漫画を買いあさっていた学生の頃に出会った作品で、物憂い何かを残していった青春でSFな名作です。 作者は田村マリオさんで、この方…

『よるくも』生きていくという犠牲の連鎖は続いていく

ついに最終巻が発売された『よるくも』。漆原ミチ先生の描く世界観が素晴らしすぎて、かなり大好きな漫画の1つで、間違いなく傑作の漫画がついに最終回を迎えて、「始まりがあれば終わりもある」ということを実感してジーンとなっています。この作品が世に…

『ウォッチメン』ヒーローの裏の姿が露わにされる展開に興奮です

ヒーローというものは、正義の塊みたいなもので、大衆にとって平均的に悪だと認知されているものを倒すものである。そんな子供の頃に植え付けられたような価値観の尺度を刷新するような作品が『ウォッチメン(Watchmen)』でした。1986年代に出版された漫画…

あ、やばい、せつない!『NieA_7 Recycle』

Kindleストアを見ていたら、『NieA_7 Recycle』(ニア アンダーセブン リサイクル)が出版されていました。どうやらもともと2000年あたりに2巻完結で出版されていた本を1冊にまとめた本のようです。懐かしいなーと思って買って読み直したら、なんか胸を締め…

それが何か分からないまま唐突に終わる『フリージア』

フリージアは松本次郎さんの描くバイオレンスアクションな漫画です。仇討ち法が成立した社会で、殺人事件の加害者に報復する。 フリージア 第1集 (IKKI COMICS)作者: 松本次郎出版社/メーカー: 小学館発売日: 2003/07/30メディア: コミック購入: 2人 クリッ…

『エスニシティ・ゼロワン』集団に属するということを考えた

『エスニシティ・ゼロワン』は多田乃伸明さんのSF漫画です。平穏で安定した囲郭都市の外に追放された少女の物語。共通の意志を持った人が集まれば、やがて革命が起きる! エスニシティ ゼロワン 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)作者: 多田乃伸明出版社…

次のコマではもう3年が過ぎている。時間がギュンギュン飛ぶ漫画『星屑ニーナ』

かつてニーナという少女がいて、その記憶は星屑という名前の乾電池駆動ロボットに残り続けます。この記録を巡って物語が展開されるのですが、時間が面白いほど飛びます。次のコマでいきなり3年後や50年後に飛んだりするなど、歴史を早送りして俯瞰するような…

へんたいよくできました。『ニッケルオデオン 緑』

『ニッケルオデオン 緑』は道満春明氏の1編8ページのショートストーリー集です。全部で13編。帯のキャッチコピーは「へんたいよくできました。」。。。なんてこった!ニッケルオデオン「緑」 (IKKI COMIX)作者: 道満晴明出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013…